久しぶりの大原三千院~その2思い出編~
バスターミナルから三千院に向かう参道には、たくさんのお土産屋さんや食事処があります。だいぶ前のことですが、うちの娘が小学校の4年生の時に、この時季に2人で来たことがありました。娘の学校の創立記念日(?)と僕の休みがたまたま同じ平日に重なった日のことでした。娘が「宿題の作文、書くことがない!!」というので、「ネタを探しに行こう」ということになり、大原までやって来たのです。
2時頃でしたが、2人とも朝昼兼用の早い食事でしたので、小腹が空き、「うどんでも食べようか」ということになり、一人前だけ頼みました。娘のためにお椀を一つもってきてもらい、2人で分け合って食べたのです。別にお金がなかったとかではなく(そんなにはありませんでしたが)ちょっと食べたかっただけなのでした。
お店の人がうどんを一人前と小さなお椀を持ってきてくれました。そして、すぐその後に、おにぎりを二つ持ってきたのです。「お嬢ちゃん、これもお食べ!!」と優しく笑いながら、お店のおばさんが置いていってくれたのです。
「おにぎりは頼んでいませんが?」と言ったら、「いいの、いいのお食べ!!」と言って、さっさと奥に行ってしまいました。娘と2人で「何でやろ」と考えて、答えが見つかりました。
このお店のおばさんが考えたストーリーはきっと、こうだったのです。
「平日に普段着でやってきたこのお父さんは、今は無職で収入がない。うどんを二人前頼みたいが、一人前しかお金がない。仕方ないから半分こして食べよう。そのうち、お父さんが競馬で当てて、おいしいものをたらふく食べさせてあげるから、それまで辛抱してな」
心優しいおばさんは、見るに見かねておにぎりをサービスしてくれたのです。それは、とてもうれしく心温まるものでした。しかし、それほどお腹が空いていない娘は、うどんだけでも十分だった上に、おにぎりを一つやっと食べ、あとの一つは僕が食べました。決して残すわけにはいかなかったのです。僕は、おばさんの想像した父親役を演じようと努力しました。店を出るときも、少し卑屈にお礼をいいました。おばさんは、「大丈夫?お腹いっぱいになった?」と、少し不安そうでした。娘も明るく「うん、お腹いっぱい」と満足そうな顔をしてくれました。僕ら2人は、良いことをしたような、悪いことをしたような、複雑な気持ちでした。
その後、三千院の紫陽花苑を散策し、娘は十分に、作文のネタを見つけることが出来ました。
懐かしい思い出です。そのお店は今も健在でした。
写真は、大原の里の様子です。
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