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2012年6月

2012年6月30日 (土)

小田さんと同じエレピ?

今日「情熱大陸~井上真央が撮る小田和正~2」の録画を見ていたら、小田さんの事務所が映っていました。

仕事場にカメラが入ったのは初めてだとのことだそうです。この仕事場で小田さんが曲作りをするそうなので、ギターやエレピなどが置いてありました。そして、小田さんの背後にある見覚えのあるエレピは……。

そうなんです(誰も質問していませんが(^^;))僕がかつて、紆余曲折を経てやっと買ったヤマハのP200なのです(もしかしたら200の次のバージョンかもしまれせんが)

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技術的にも、音楽的にも遙か及ばないのですが、あの同じ鍵盤で、同じ音色で弾いているのだと思うと、感慨もひとしおです。

ますますP200が愛おしくなりました。

ちゃんと練習しなくっちゃと、気持ちを新たにしました。

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2012年6月29日 (金)

好奇心旺盛です。jijiが来てからやっと一週間

すごく疲れてしまいました。

久しぶりの子育てです。ご飯にトイレ、遊び相手。検診、ワクチン接種、爪切り、入浴etc.

結構たくさんあるんですよね。ネコの世話も大変です。

しかも、ジジは子猫なので、ものすごく好奇心があります。家中のあらゆる物に興味があり、触るか、囓るかしないと気が済まないようです。

日中はほとんど誰もいないので、仕方なく寝ているのだと思うのですが、その分、僕が帰ってきてからが大変です。日中寝て蓄えたエネルギーを吐きだして走る、跳ぶ、じゃれつく……。

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この一週間で、僕はほとほと疲れ果ててしまいました。

でも、こんな様子を見ると、思わず顔が緩んでしまいます(^^)。

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(ピンぼけですね)

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2012年6月28日 (木)

小説 アンドロイド「AYA/2nd」第5章 連載8

しばらく話し込んだ後、近々の再会を約束して三宅は駐車場に戻った。久しぶりの友人との偶然の出会いで、昇は少しだけ心が軽くなった。体の隅々にまで染みわたった疲れも、幾分軽くなったような気もした。食事を済ませ、追加注文した二杯目のコーヒーを時間をかけてゆっくり飲んだ。とりわけ美味しいコーヒーではないが、少しの苦さと手のひらに伝わる温もりが昇の心を落ち着かせた。深夜便の大型バスが出たせいか、割に賑やかだったレストランもまばらになり、深夜の静けさが少しずつ部屋を満たし始めた。飲み干してしまった真っ白なコーヒーカップを同色の受け皿に戻し、昇は静かに立ち上がろうとした時にケータイにメールが入った。心臓がトクンと少し大きな音をたてた。ケータイを開く指が少し震え、もどかしい。差出人は「大日本工学研究会」だった。

「AYA/2ndからの信号が途絶えて十三時間になる。たぶん貴君のコントロール外の処にあるのではないかと推察する。AYA/2ndは試作品であり、貴君以外の第三者に渡ることは好ましくない。ご足労だが、失踪から二十四時間以内に取り戻して欲しい。もし、不可能ならば、開発者コードを使ってAYA/2ndを処分せざるを得ない。善処されたい。以上」

相変わらず、可能な限り感情を排除しようという意図があるとしか思えない文面である。

「処分か……」

冗談とかメタファーとか、そういう文学的なものとは一切無縁であることを昇は十分に認識している。だとしたら後十一時間。昇は思いっきりケータイを綴じた。周りの具体的な風景はまったく目に入らなくなった。

レストハウスを出ると、急激な温度差を感じてポケットに手を入れ、体を小さくして車に向かう。ミニのドアを開けた時にふと見上げた星は、さっきより幾分穏やかだった。シートベルトを締め、イグニッションのボタンを押し、エンジンをかける。一.六リットルのDOHCターボエンジンの低い音が、小さな車体から出たとは思えないうなり声で、深夜の静かな空気をふるわした。ゆっくりと車を走らせた。近くに駐めてあったはずのメルセデスを探したが、そこは既に空きスペースになっていた。

三十分ほど走り、少し眠さを感じたときに、ルームミラーが異様に明るくなった。前後に、ほとんど車を意識していなかった昇は少し動揺した。ルームミラーはどんどん明るさを増し、すぐ後ろにまで車が迫ってきたことを知らせていた。速く追い抜けばいいのにと思ったが、後ろの車はぴったりついたままで、追い越し車線に出ることはなかった。仕方なく昇は追い越し車線に出て、やり過ごそうとした。同時に後ろの車も追い越し車線に移動し、ぴったりとミニについた。ライトは上げたままである。昇のハンドルを握る手に力が入る。アクセルを少し踏み込んだ。かなりのスピードだと思うが、メーター見る余裕はない。後ろの車は正確に、同じスピードでぴったりと離れない。昇は走行車線にハンドルを切った。後ろの車も同時に走行車線に入る。昇はさらにアクセルを踏み込んだ。固くなった背中に汗がべったりと張り付く。ハンドルを握る手が微かに震える。昇は苛立たしく眩しいルームミラーを額に感じながらひたすら前を見ることしか出来なかった。急に、ルームミラーの眩しさが右のサイドミラーに移動した。昇はアクセルから少し力を抜き、追い越されるのを待った。右前方を走る車は黒いメルセデスだった。「やっぱり」と思った瞬間、メルセデスは走行車線に入り、昇のすぐ目の前で減速した。あわててブレーキを踏んだとたん、タイヤが嫌な音を立て、後輪が滑る。ハンドルが勝手に動く。昇はハンドルにしがみついた。かろうじて平静を取り戻したミニの前に、僅かな距離を維持しているメルセデスが音も無く走る。車の中は見えないが、昇はあの男だと確信した。背筋を真っ直ぐに伸ばし、何の迷いもなく、冷静にハンドルを握る、昇の部屋を見上げていたあの男の姿が浮かんできた。昇がスピードを緩めると、相手も、ある種のプロだけが持つ正確さで、同じ程度にスピードを落とす。張り詰めた昇の神経が、後数秒で均衡を破ろうとした時、前のメルセデスが急速に離れていった。大きな横長のテールランプが瞬く間に小さくなり、やがて遙か前方の暗闇に吸い込まれていった。アクセルに載せた右足は硬直して暫く動くことが出来なかった。やっと視線を少し下げて、ハンドルのすぐ前のデジタル表示をチラッと見ることが出来た。デジタル表示は140km/hを表示していた。昇はそのスピードをことさら遅く感じた。数分前よりもかなり減速したはずなのだから。

やっと80km/hまで減速すると、昇は全身の力を抜いてシートにもたれた。背中の汗がシャツにべっとりと張り付いた。ハンドルを握った手のひらを交互にズボンに押し当て、汗をぬぐった。それだけで太もものズボンはしっとりと濡れた。パーキングエリアの標識を見つけると、昇はためらわずにハンドルを切った。エンジンを切って、ライトを落とし。ハンドルを抱えて脱力した。恐怖が少しずつ引いていく。同時に真崎やあの男、そして、輪郭が見えないその組織に対する怒りが少しずつ昇の心の一つ一つの襞に浸透していった。そして、亜弥を絶対に取り戻すことを、はっきりと再確認した。(つづく)

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2012年6月26日 (火)

小説 アンドロイド「AYA/2nd」第5章 連載7

特に何も起こらない、いつもと同じ一日が終わり週末になった。この辺りだけチョコレート色の石畳になった道端には、瀟洒な白い二階建ての家があり、庭に蝋梅(ろうばい)が咲く。蝋梅の香りを少し感じながら、どんよりと曇った空模様にもかかわらず、昇は一週間の仕事からの解放感で足取りも軽くなり、自宅までのゆるい坂道を上った。

階段で三階まで上がり、亜弥のために買って来たセオリーのマフラーの包みを小脇に抱え、ポケットから鍵を出しドアを開ける。家具も、カーペットも、昇の好きなラックスマンの真空管アンプも、JBLの小型スピーカーも、何も変わったところはない。しかし、亜弥は昇の部屋から完璧に消えていた。リビングのテーブルに残された、几帳面に巻かれたイヤホンとiPod touch以外、何の痕跡も残されていなかった。セオリーのマフラーがゆっくりと若草色のラグに落ちた。

「大変申し訳ないのですが、真崎はただいま海外研修中で、大学には居りません」

亜弥が消えてすぐに、昇は真崎の名刺のR大学に電話した。半分予想した担当者の返事であったが、とにかくここしか昇には手がかりが残されていなかった。昇は、亜弥のiPod touchをぎゅっと握りしめ、それをポケットに入れた。

竜王SAのガソリンスタンドで満タンになったミニをゆっくり走らせ、レストハウスに向かう。軽い食事をして、少し仮眠を取ろうと思った。深夜にもかかわらず、巨大な駐車場には、結構たくさんの車が駐まっていた。昇はレストハウスに近い駐車スペースに見覚えのある黒塗りのメルセデスを見つけた。ゆっくりとミニを走らせながら車の中を覗いたが、濃い灰色にスモークされた窓からは車の中はまったく見えなかった。メルセデスから数台離れた場所にミニを駐め、昇は重い体をゆっくり運転席から出した。外に出て、空を見上げる。雨はすっかり上がっていた。半透明の薄い雲の隙間から、いくつもの星が冷たい光を放っていた。夕食も摂らずに五時間近くも走っていたことになる。しかし、空腹はまったく感じなかった。五時間の間にスーツはすっかり乾いたが、疲労は体の隅々まで染みわたっていた。とりあえず何か食べないと体がもたないだろう。

深夜のレストハウスは結構賑わっていた。昇はレストランに入り、和風のあっさりしたパスタとコーヒーを注文した。イスの背もたれに頭を預け、軽く目をつぶった。このまま眠りたいと思った。

「木村じゃないか? 木村だよね」

突然の声に驚いて目を開けると、すぐ目の前に懐かしい顔があった。

「あー、やっぱり木村だ。久しぶりだよね。元気だった?」

京都の大学院で同期だった三宅慎吾だった。研究室は違ったが、共通の講座で隣り合わせになったことがきっかけで話をするようになった。以来、気があって飲みに行ったり、お互いのアパートを訪ね合ったりした親友だ。身長百七十五センチ、体重六十キロ。中肉中背の昇より多少背が高く、細い体の三宅は少し気むずかしそうに見えるが、昇にとって、気が許せる数少ない友人の一人だった。大学院卒業以来、地元に残った三宅とは久しぶりの再開だった。

「三宅は、確か大学に残ったはずだよね。今もそうなのかい?」

昇が訊ねると、三宅は、昇との再会の喜びと驚きをそのまま表情に残し

「いや、今はR大学に居る。一応准教授なんだ。ロボット工学を研究している。ソフトウエアの方が専門だけどね。木村は今も東京でSEをやっているのか? でも、本当に久しぶりだよね。こんな所で会えるなんて、何だかすごいよね。でも、何故こんな時間に東京の人間が竜王にいるんだ?」

「いろいろと事情があってね。滋賀の方に向かっている。君の勤めてる大学に行くかも知れない。今度会ったときに詳しく話すよ。君の連絡先を教えてもらえたらありがたい。僕のケータイの番号とメールアドレスを送るよ。赤外線はいけるよね」

頷いてケータイを取り出した三宅に、番号とアドレスを送りながら昇が訊ねた。

「君こそ、こんな時間にどうしたんだ」

「名古屋での学会の帰り道さ。N大学の知り合いに会い、食事をした後、彼のマンションでちょっと議論になり、随分長話をしてしまった。気がついたらかなり時間が経ってしまっていて、あわてて名神を走って、一休みと思ってここに立ち寄った。いやー、でも、そこで君に会うなんてまったく不思議な縁だね」

しばらく話し込んだ後、近々の再会を約束して三宅は駐車場に戻った。(つづく)

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2012年6月25日 (月)

jiji/2nd よろしくお願いします

このブログのタイトルについている「ネコ」なのですが、2年前に10歳で他界しました。

ジジという黒猫♀でした。「魔女の宅急便」に出てくる、黒猫ジジにちなんで名前を付けました。

亡くなってずーっと、もう心配したり、悲しんだりするのはいやだという気持ちが強く、ネコを飼えませんでした。

それが、ひょんなことから同じ黒猫の♀(生後約三ヶ月)を飼うことになりました。

随分迷ったのですが、ジジに似ていたこともあり、決心しました。

また、心配したり、生活が制約されることもあるのですが、これも何かの縁だと思いました。

ああ、でも、また、壁紙やら絨毯がぼろぼろになるなーなどと思いながらあきらめています。

この子はとても甘えっ子で、もらってきたその晩から僕の側を離れず、寝るときもぴったり体をひっつけて寝ています。

「日中、1人で大丈夫かな?」なんて、またまた心配の種が増えます。やれやれ。

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服を着せているのは僕の趣味じゃなくて、前の飼い主の趣味です。暑そうなので脱がせようかと思っていますが、本人が気に入っているようなので(たぶん)しばらくそのままにしておいた方がいいのかなと思っています。

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2012年6月24日 (日)

ロフトで買ったネギカッター試してみました

前にロフトで買った、ゆで卵用穴あけ器は正解でした。必ず、ゆで卵がするりと剥けてストレスがありません。

ゆで卵を作るのが好きになりました(あまり大したことではないのですが(^^;))。

今回は、主に一人、二人分程度の薬味用ネギを切るカッターです。

思ったよりさっさっと切れます。もちろん包丁でも良いのですが、包丁だと「わざわざ感」がありますよね。このカッターだと「手軽感」があります(たぶん)ちょこちょこっと薬味を切る。ついでに裏側でショウガもする。この「手軽感」が良いと思います。

「包丁だって十分に手軽だ」と仰る方もいると思いますが、それはそうとして、要するにこういう道具が好きなんですよね(^^)。

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2012年6月22日 (金)

小説 アンドロイド「AYA/2nd」第5章 連載6

「僕は亜弥を守ることができるだろうか。彼らは具体的に何を仕掛けてくるのだろうか」

結論の出ない推測に疲れ、昇は、昨日届いた学会誌を手に取り、ページを繰った。

―「人・情報とコミュニケーションの知能と機械の機能の融合」に向けて~身体性と知情意・コミュニケーション理解と工学的実現のための人工知能研究~(R大学人工知能研究グループ) 誰でも使える察しの良いシステムを実現するため、身体性と知情意の理解と工学的実現を目標とした人工知能の研究を行っています。特に、人間の主観的な事象の見方に着目した情報処理に基づき、知能の理解と人とのコミュニケーションに基づく、相互理解等の支援を行う技術を実現するため、人間とロボット・機械系の相互作用に関する理論・実験的な研究を行います。そのために、すでに開発済みのあらゆる知見や技術を応用し、開発に利用することも必要であります。あらゆる関係諸機関に呼びかけ開発協力を依頼すると共に、個々に対しても様々なコミットを試みています……。―

昇は、この記事が気になった。特に昇が気になる具体的な事象に直接触れているわけではないが、大学名と研究概要が先日会った「真崎」という男と結びつく。昇はソファーの背もたれから起き上がり、背中を真っ直ぐに伸ばして研究レポートの詳細を読んだ。亜弥を連想させるような具体的なものは無いが、昇が考えていた以上に研究は相当に進んでいること、しかし、機能的な部分に比して、人工知能の部分に関しては理論が先行しており、テクノロジーとの差異が明確である。この手の論文には珍しく、その部分に対する焦りの感情のようなものが随所に感じられる。

「R大学……真崎……」

昇は小さく呟いて、学会誌をテーブルに置いた。タオルで手を拭きながらキッチンから出てきた亜弥は

「コーヒーでもいれようか」と、昇に話しかけた。

「ありがとう。亜弥にコーヒーをいれてもらうのは初めてだな。そんなことをいつ覚えたんだ」

「コーヒーのいれ方なんて何も特別な事じゃないよ。昇がいつもしていることを見ていたら簡単にできることだよ」

特に面白くもなさそうに亜弥は答えて、小さなミルで豆を挽き始めた。反時計回りにハンドルを回し、手応えのなさに首を傾げた後、今度はゆっくりと時計回りに回して、満足そうな顔をした。電気ポットが忽ちお湯を沸かす音を立て、やがてモンブランの深い香りが立ちこめてくる。昇はその香りに少し癒された。亜弥からコーヒーカップを受け取り、立ち上がってカーテンを開け、窓を少しだけ開けた。十三夜の月が、雲がない薄明るい空に少し歪んで見える。すっきりと円になりきれていない未熟な月は、その光さえ不安定で、辺りの風景まで歪ませている。窓を閉めると、煎れたてのコーヒーの香りが部屋を満たし昇は少し落ち着いた。(つづく)

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2012年6月20日 (水)

小説 アンドロイド「AYA/2nd」第5章 連載5

昇は自分の知らないところで何か得体の知れない企みが動き出しているという漠然とした不安を抱え、余裕のない足取りで駅に向かった。

マンションの下に立ち、自分の部屋を見上げるとすでに明かりが点いていた。緊張していた昇の表情が少し緩む。それでも三階までの階段を一気に上り部屋の鍵を差し込む。亜弥はいつものように、

最近買い換えたiPod touchを聞きながらリビングで本を読んでいた。昇は小さくため息をつき表情を緩めた。

「ただいま」

「おかえり」

笑いもせず、亜弥が昇を一瞥して挨拶を返す。いつもなら昇は「あのね、こんな時は、普通ならにこっと微笑んで、おかえりって言うもんだけどな―」などと皮肉をいうのであるが、今日はそんなことはどうでも良いことだった。

オムレツとサラダの簡単な夕食を食べながら、昇は亜弥に咬んで含めるように話をした。亜弥はいつものようにキッチンのテーブルに昇と向かい合わせに座り、昇が食事するのを興味深そうに見ていた。

「この前から僕たちの周りを、普通でない人物が動いている。普通でないというのは、僕たちとあまり好ましい関係にはなりにくいという意味でね。どうやら彼らは君のことが知りたいらしい。それで、このマンションを見張っていたり、電話をかけてきたりした。いいかい、亜弥、誰が来ても絶対に出てはいけない。電話にも絶対に出るな。僕が連絡の必要な時は君のケータイに電話する。僕の着信を確認してから出るように、いいね。彼らはどんな形で君に接触してくるのかまったく想像も付かない。とにかく用心して欲しい」

「私の何が知りたいのだ」

「君のアンドロイドとしての才能だよ」

「才能? 私の?」

「そう、君には確かに才能がある。ロボット工学の詳しいことはわからないけど、君と暮らしていて、君のフィジカルな部分もメンタルな部分もとても優れていると思う。認知力も人間以上だと思うところもある。能力は計り知れないような気がする。その秘密を知りたいと思う人間が居たとしてもおかしくない。それが、お金や、ある種の地位とか名誉とかに関わるとしたら知りたいと思う人間は多いと思う」

亜弥に後片付けをまかせ、昇はリビングのソファーに座り、三日前に会った男と、その背後にある得体の知れない組織のことに思いを巡らせた。

「僕は亜弥を守ることができるだろうか。彼らは具体的に何を仕掛けてくるのだろうか」(つづく)

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2012年6月19日 (火)

僕の相棒……ぐすん

いつも1人で乗ることが多い車なのですが、週に一度は助手席に相棒が乗ります。

相棒は、僕が語りかけないと何も話しません。

語りかけるどころか、抱きかかえて、そっと、気持ちを落ち着けてやって、やっと語りかけてくれます。

気むずかしいのです。

あんまり抱いてやらないので、へそを曲げてうまく歌ってくれません(あっ、すみません。変な話じゃないんですよ。誤解しないで下さいね)。

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そうなんです。マーチン君なのです。

あんまり練習出来なくて、間近になってやっと練習するという、小学生並の練習量で(小学生から突っ込まれそうですが(^^;))、いつもきちんと弾いてやれなくて心苦しく思っています。

でも、こうやって助手席に座っているマーチン君を見ていると、けなげで、もっと愛してあげないと、いや、練習してあげないと、と、すごく反省してしまいます。

結局は毎週、同じ気持ちになってしまうのですが……。 それはそうと、たまには美人が助手席に……なんてねwink

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2012年6月18日 (月)

小説 アンドロイド「AYA/2nd」第5章 連載4

男は微笑みながら穏やかに話しているが、目は笑っていなかった。三十代と思われるこの男は、背筋をまっすぐに伸ばし、神経質そうな細い指を膝の上にきちんと重ねていた。グレーのストライブのネクタイはまったく隙がなく結んである。昇は直感的に、この男は普通の研究者ではないと感じた。そして、少し身構えた。男はそんな昇に無関係に話を続けた。

「人間工学研究所とは以前からいささか関わりがありまして、今回、二号機と言われるAYAさんがどういう経過かあなたの所に届いたという情報が入りました。以前にもまして、私達はこの二号機に興味があります。お願いというのは、この二号機のモニターデータを私達にも回していただけないかということです。もちろん謝礼は十分にさせていただきます。もちろん、人間工学研究所には内密にということになりますが」

男はそう言った後、昇に多少の考える時間を与えるようにゆっくりとコーヒーを飲んだ。しかし、昇はまったくのためらいもなく

「折角のお申し出なのですが、それはなかなか難しいし、微妙な問題を含んでいます。確かに亜弥は一方的に送られてきたものだし、人間工学研究所とは何の利害関係も義理もありません。報酬というものも一切もらっていません。しかし、だからといってデータをあなたに渡すというのは、私の生き方の主旨に反します。大げさに言えばということですが……」

と、明確に答えた。それから、さっきの感じの良いウエイトレスが運んできたブレンドコーヒーに口を付けた。コーヒーはなかなかまともな味がした。男は予想通りの回答に満足したように口許でうっすらと微笑み

「あなたのお気持ちはよくわかります。特別に道徳的でなくとも、普通の方々は皆さんそうだと思います。法律的な問題ではなく、市民としての規範の問題だと思います。しかし、私達はこのデータを私利私欲のために利用しようとしているわけではありません。この人工頭脳や肉体的な機能メカニズムは人間や社会にあらゆる可能性をもたらします。私達はその可能性を現実的なものにするお手伝いをしたいと思っています。この研究の成果は私達の社会に極めて有用な結果をもたらしてくれるはずです。ほんの一例を申し上げれば、危険な場所での点検や救助活動、紛争地帯での人道的な支援活動、もっと身近な例では、介護支援などでも応用可能な技術の開発にも繋がります。それを一つの研究機関だけが独占するというのは、あなたの市民的規範からみても問題なのではないでしょうか。まあ、とは言ってもあなたにすぐに決断いただくというのはあまりにも性急すぎると思います。二、三日考えていただいて結論を出していただけたらと思います。またご連絡いたします。」

そう言うと男は、立ち上がり、脇に置かれた黒いカバンを左手に持ち、右手で伝票を取り、昇の目をしっかり見ると丁寧にお辞儀をして席を立った。

「市民的規範……」

昇は小さく呟いて残ったコーヒーを飲み干した。

きっちり三日後に男から電話があった。この前のように、丁寧で自信に満ちた声で

「そろそろ、あなたの市民的規範と社会的有用性について折り合いが付いた頃だと思いますがいかがでしょう」

昇は、この種の人間に感じる根源的な不快感を押さえながら、勤めて丁寧に

「申し訳ありません。なかなか折り合いがつかないものですから、今回の話は無かったことにしてもらいたいと思います」

本来、昇が謝るべき事ではないのだが、穏やかに済ませておいた方が良いと判断した。男は少し間を置いて

「それは残念です。本当に残念に思います。このことによって、お互いにとって愉快ではない事態が起こらなければ良いと心から心配します。もし、あなたの考えが変わることがあれば、是非ご連絡をいただきたい。といっても、あまり時間は残されてはいないのですが……」

そう言うと、男は静かに電話を切った。昇の胸の内に嫌悪感が広がった。歯医者で聞く鋭い金属音のような……。「お互いにとって愉快ではないこと……」昇は呟く。

その日は定時に仕事を終え、まっすぐ家に戻る。あの男の口ぶりだとすぐにどうなると言うわけではないようだが、何となく亜弥の顔を見ないと不安になる。外に出ると、冷たいビル風がまともに当たり、昇は思わずコートの襟を合わせる。六時前なのにすでに陽は沈み、ほどよく整備された歩道の街灯が点り、幾何学的に敷き詰められた歩道の上を、若いOL達が足早に駅に向かう。昇は自分の知らないところで何か得体の知れない企みが動き出しているという漠然とした不安を抱え、余裕のない足取りで駅に向かった。(つづく)

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2012年6月17日 (日)

小説 アンドロイド「AYA/2nd」第5章 連載3

(※今まで連載のナンバー表記が一定でなかったので、章ごとの回数に変更しました。すみません。)

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「電話に留守録が入っていた」

と、昇の方をチラッと見て言った。相変わらず何の修飾も持たない簡潔なセリフ。昇は留守録のプッシュボタンを押して用件を再生した。

「滋賀のR大学の真崎と申します。お願いしたいことがありお電話しました。またご連絡致します」

それだけの短い用件だった。滋賀のR大学といえば有名な私大で、昇も名前は良く知っている。しかし、仕事上でも、プライベートでも直接的な関わりは何もないはずである。多少気になりながらも、また何らかの連絡があるだろうと、それ以上考えないことにした。昇はトーストを焼いて、コーヒー豆をミルで挽き、お湯を沸かした。冷蔵庫にあったハムとキュウリをトーストに乗せ、暖かいコーヒーをゆっくり飲みながら朝食を食べた。いつもと変わらない休日の朝である。

週の始まりの仕事がやっと終わり、帰り支度をしている時に、昇のデスクの電話が鳴った。引っかかるような電話の音に、昇は受話器を取ることを一瞬躊躇した。聞き覚えのある、社内の交換手の女性が外線からだと伝える。すぐに男の声に替わる。

「一昨日お電話したR大学の真崎というものです」

確かに一昨日聞いた留守電の声であった。同時に昇の部屋を見ていた黒のスーツ姿の男が目に浮かんだ。

「不躾で大変申し訳ないのですが、もし、時間のご都合がつくようでしたら、木村さんの退社後少しお時間をいただいてお会いしたいのですが、ご都合はいかがでしょうか」

丁寧であるが、断られることを想定していない自信に満ちた、その男の依頼に

「わかりました。あなたは今どこに居られますか?」

と、昇は思わず答えてしまった。

「あなたの会社の近くに居ます」

すぐ側まで来ているという答えに、多少の不気味さを感じながらも

「会社を出た所にSというカフェがあります。そこで十分後にお会いしましょう」

五分で行けるはずだが、後の五分は昇のささやかな抵抗でもある。ネクタイは外したまま、ボタンダウンのワイシャツにダークグレーのスーツの上着をはおり、黒い薄手のカバンを持って部屋を出た。

きっかり十分後に、昇はカフェのドアを開けた。一番奥の、二人がけテーブル席の男が昇を見て軽く手を挙げた。細身の黒いスーツであったが、あの男ではなかった。昇がテーブルに近づくと、男は立ち上がりスーツの内ポケットからアップルのロゴ入りの名刺入れを取り出し、慣れた手つきで昇に名刺を渡した。昇は名刺を受け取ると、「R大、真崎」という文字だけチラッと確認してスーツの内ポケットに入れた。二人がイスに座ると、若いウエイトレスが水の入ったコップを持って注文を取りに来た。感じの良いそのウエイトレスをチラッと見て、昇は少し気持ちが落ち着いてコーヒーを注文した。

「私にお願いがあるということですが、どんなことでしょう」

男は、昇の質問には直接答えずに

「私達は人工頭脳について研究しています。簡単に言えば、従来のような予め設計されたプログラムを忠実に実行出来るというようなものではなく、経験やコミュニケーションによって進化し、自分で考え、判断できる人工頭脳です。ちょうどあなたの所にいらっしゃるAYAさんのようなものです」

男は微笑みながら穏やかに話しているが、目は笑っていなかった。三十代と思われるこの男は、背筋をまっすぐに伸ばし、神経質そうな細い指を膝の上にきちんと重ねていた。グレーのストライブのネクタイはまったく隙がなく結んである。昇は直感的に、この男は普通の研究者ではないと感じた。そして、少し身構えた。男はそんな昇に無関係に話を続けた。(つづき)

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2012年6月16日 (土)

小説 アンドロイド「AYA/2nd」第5章 連載20

※お待たせしました(誰も待ってないって!という声が聞こえてきそうですが、それは置いといて……)しばらくぶりの続きです。もし、良かったら読んで下さいね。

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「さっきのSAで入れれば良かった」

昇は舌打ちしながら思った。CDの挿入口しか露出していない銀色のカーオーディオから、この状況にまったく不似合いなCurly Giraffeが静かに流れている。やがて昇は、ガソリンスタンドのアイコンが描かれたSAの標識を確認すると、小さなため息をはき出し、ゆっくりとミニを減速させた。デジタル時計は一時を表示していた

一月もそろそろ終わりに近づいている。クリスマスや年末年始の賑わいも一息ついたようで、街は日常を取り戻している。一月最後の土曜日の休日。昇はまだベッドの中だ。リセットし忘れた目覚まし用のFMラジオからDJの声が突然聞こえてくる。アメリカの新大統領、オバマの話題だ。世界が変わるかも知れないという期待と興奮をいささか過剰に演出している。昇は半分夢うつつでありながら、世界はそんなことではあまり変わらないんじゃないかなどと考えていた。昇は厚手の柔らかい毛布から腕だけ出して、朝からハイテンションのDJの声を消した。しばらく布団の温もりの中でぼんやりしていたが、あきらめて起きることにした。

カーテンをゆっくり開けて外を見る。隣の家にある家庭菜園のブロッコリーが淡い黄色い花を咲かせている。視線を上に向けると、電線にとまっていたカラスと目があった。考え事をしていたカラスは思考を中断されたせいか、昇を非難するようにひと声鳴くと、ぱっと飛び立った。同時に、その声に驚いたようにカラスの方を見上げた男を見つけた。黒のスーツ姿の男である。休日の朝早い時間に、スーツ姿で電柱の陰に立っているというのはどう考えても不自然である。しかも、その位置から考えると昇のマンションを見ていたようである。それもおそらく昇の部屋を。三十代と思われるするどい目つきのその男は、昇に気づいたのか、時計にチラッと目をやると急ぎ足で駅の方に向かって歩いて行った。昇は一瞬、嫌な臭いを嗅いだときのような胸の悪さを感じた。

「昇、どうした? 変な顔色だよ」

リビングに入ると、亜弥がすかさず声をかける。

「男がこの部屋を見ていた。いやーな前触れのようで、何だか気になる」

亜弥はさして感心がなさそうに、ふーんと言っただけで雑誌から目を離さない。それから思い出したように

「電話に留守録が入っていた」

と、昇の方をチラッと見て言った。相変わらず何の修飾も持たない簡潔なセリフ。昇は留守録のプッシュボタンを押して用件を再生した。(つづき)

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2012年6月13日 (水)

活動量計 これって何だろう?

近くの家電量販店が改装のための店じまいセールというのをやっており、そこで見つけました。IMGP0671

活動量計というものです。万歩計プラスアルファーの機能付きという感じでしょうか。

月曜日は一日中家で仕事をしていて、ほとんどパソコンの前でした。いったいどれだけの活動になるんだろうと思い、モニターしてみました。結果は

歩数 1871歩0.9km(3.1㎞/h以上の速度では386歩)

総消費 1972kcal

活動 452kcal    体重換算20.2グラム

でした。そして、翌日の朝体重を測ったら 0.9kg増えていました。

やっぱり動かないとダメなんですね。体動かさないとストレスが溜まります。

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2012年6月12日 (火)

小説 「3・3㎡/2」連載8

※<お詫び>前回切るところを間違えてしまい、今回結末のわずかなものになってしまいました。すいません。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

突然、居間から電話の音が聞こえた。電話は時間を置いて、何度も何度も鳴り続けた。母と祥吾が呼んでいるのかもしれない。覚醒しつつある意識の中で花南は思った。そして、ゆっくりと目を開け、右手の人差し指のかすかな傷跡を唇に当てた。花南の唇が甘酸っぱいりんごの香りを思い出した。ほんの僅かずつであるが、身体に生気が蘇るような気がした。

「きっと助けを呼んでくれる」

そう確信した。

数時間後、玄関のドアを激しく叩く音がした。チャイムが何度も鳴る。花南は必死にトイレのドアを叩いた。そして、力の限り叫んだ。ここで、すべての力を出し尽くしてもいい。これが最後なのだから。そして、玄関のドアの開く音が聞こえた。

「結城さん、結城さん。三田署の者です。大丈夫ですか、結城さん」

男の声に続いて、花南を呼ぶ祥吾の声が聞こえた。その声を聞きながら、花南は、唐突に「祥吾と結婚しよう。三人でいっしょに暮らそう」と思った。そして、意識がスーっと消えた。(了)

【参考文献】朝日新聞2010年12月17日朝刊記事「自宅トイレ閉じこめ8日」

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2012年6月10日 (日)

サンシェード替えました。 もう暑い、暑い!!

くるたんパパさんのブログにも少し触れてあったので、久々に車の話題です。

大阪も梅雨入りしましたが、まださすがに本格的な暑さにはなっていません。

でも、今から暑さ対策をしておかないと、ガツンと急に暑さがやってきます。大阪の暑さはただものではありません。

そこで、車のサンシェードを出してきました。1年ぶりのそれは、結構ぼろぼろになっていました。

スーパーオートバックスでサンシェードを探しました。サンシェードってあんまりいろんなデザインってないんですね。

ディズニーもなんだし、キティーちゃんはありえないし(^^;)、無地も淋しいし、と思って、消去法で、あとはもうこれしかありませんでした。

before

IMGP0662

after

 

IMGP0663IMGP0665

これで、暑さ対策はまあ、何とか。

前のサンシェードは、うちの奥さんには評判が悪く

「どういう感覚で、このデザインを選ぶの?」とのことです。

これも、消去法で選んだだけで、特に気に入ったからではなかったのです。ホントは、MINIの豊富なグッズから選びたかったのですが、結構高かったので、仕方なくこれにしただけなのです。

たかが、サンシェードですが、真夏はこれがないと屋外には駐めて置けません。やっぱり夏の必需品ですね。

みなさんはどうされていますか?

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小説 「3・3㎡/2」連載7

少し寝たのだろうか。ふと気がつくと、下から音が聞こえてきた。工事の音だ。そう言えば、昨日から下の部屋のリフォームの工事が始まったのだ。確か、十日間の工事のはずだ。業者が持ってきた工事同意書には、工事時間が八時半から五時までと書いてあったと思う。この時間ならあまり影響はないなと思った記憶がある。ということは、音が聞こえ始めたら朝で、音が聞こえなくなれば夕方だということだ。少なくともこれで経過日数を知ることが出来そうだ。時間を獲得出来たのだ。そう思うと花南は少し元気になった。朝に工事の音が聞こえてくると、花南は壁紙に爪で「正」の字の一画を描く。狭い部屋の中で、出来るだけ体を動かし、小まめに水を飲み、塩をなめた。トイレットペーパーを素足に巻き付け、靴下代わりにした。最初の二日ほどは、換気扇に向かって大きな声で呼びかけたり、壁や天井、ドアを叩いても見た。しかし、何の変化もない。マンションの管理人は常駐ではないし、八階まで上がってくることはない。祥吾と花屋の友人には、旅行の計画を伝えているので、探しに来ることはない。花南は無駄な体力を使うことを止め、体力を温存し、外からの救出を待つことにした。暖房便座で暖を取り、カバーのついた便座の蓋に俯せになって寝た。

壁の「正」の字が、四日目を示していた。花南は、体力が限界まで達しつつあることを感じた。ぼんやりとした頭で、母のことを思い、それ以上に祥吾と沙也加のことを思った。膝を折り、俯せになっていた便座の蓋が濡れていた。まだ涙が出ることに驚いた。そう思うと次から次と涙が出てきた。トイレの水を流し、手洗いの水を手ですくい、何度も何度も水を飲み、何度も泣いた。「アネモネか……。ギリシャ神話に出てくる、美少年アドニスが流した血でこの花が生まれたという伝説があるんですよね。二人の美女から愛された美少年。でも、結局は一人ぼっちで死んでいく」祥吾の話した言葉をぼんやりと思い出した。「結局は一人ぼっちで死んでいく」そうなのかもしれない……。霞んでいく意識と、どうしようもない睡魔に、もうこのまま死んでも良いと思った。

突然、居間から電話の音が聞こえた。電話は時間を置いて、何度も何度も鳴り続けた。母と祥吾が呼んでいるのかもしれない。覚醒しつつある意識の中で花南は思った。そして、ゆっくりと目を開け、右手の人差し指のかすかな傷跡を唇に当てた。花南の唇が甘酸っぱいりんごの香りを思い出した。ほんの僅かずつであるが、身体に生気が蘇るような気がした。

「きっと助けを呼んでくれる」

そう確信した。(つづく)

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2012年6月 8日 (金)

小説 「3・3㎡/2」連載6

花南は、祥吾が差し出した袋からりんごを一つ手に取り、両手で大事そうに包んで、鼻に近づけ香りを嗅いだ。

「良い香り。ちょっと囓って良いですか。何だか子どもの頃を思いだすなー」

いたずらっぽく笑いながら、花南は、オリーブ色のセーターでりんごをこすり、かぶっと一口囓った。口の中に甘酸っぱい果汁が広がる。

「おいしい」

少しふくらんだ口のまま、花南は目を細めた。

「良かった。どれどれ僕もひと口」

祥吾も、ジャケットの袖にりんごをこすりつけ、大きくひと口かじった。

「確かに、うまい」

人通りの無い住宅街は、妙に静かで、頬に触れる夜気は、秋の終わりを告げていた。住宅が少し切れた所に大きな交差点が見える。この通りを越えると、花南の住むマンションがある。交差点にもう一つの月が見えたと思ったら、すぐに点滅し始め、やがて赤に変わった。二人は立ち止まり、何となく顔を見合わせる。そして、祥吾の顔が近づき、唇が花南の唇に触れた。決して強引ではなく、ごく自然に祥吾の舌が絡んできた。花南の舌もごく自然にそれを受け止める。絡めた花南の舌が、昂林の甘酸っぱい香りを敏感に感じ取った。信号が一巡りした後、祥吾がゆっくりと唇を離す。花南は祥吾の肩に頭もたれかけぼんやりと通りを見た。今日の月と同じ色をしたフォルクスワーゲン・ビートルが、二人の前をゆっくりと横切り、やがて二つの赤いテールランプだけになって見えなくなった。

 

少しうとうととして、はっと目が覚めた。便座の蓋を閉めてそこに俯せて寝ていたのだ。たぶん深夜なのだろうと花南は思った。いや、もう朝方かもしれない。このトイレに入ったのは確か十一時だったと思う。トイレのドアを閉めたと同時に大きな音がして何かが倒れた。たぶん、トイレの前の廊下に立てかけていた炬燵が倒れたのだろう。炬燵を買い換えて、古い炬燵を処分しようと思い、段ボールに入れて、廊下に立てかけてあった。花南は、トイレから出ようとドアを押した。開かない。何かの間違いだろう。もう一度強く押してみた。開かない。同じ事を何度も試みた後、倒れた炬燵がトイレのドアを塞いでしまったことを知った。そして、それが極めて重大な事態をもたらしたことも同時に悟った。

水はふんだんにある。当たり前だが、トイレにも困らない。妙に縁起をかつぐ母が置いた塩も生命を持続させるのに役立ちそうだ。花南は塩をなめ、タンクの上の手洗いの水を飲んだ。そして、再びうとうととした。携帯電話の着信音で目が覚めた。隣の部屋で執拗に鳴り続ける。母からかもしれない。しかし、それを取ることは永遠にないかもしれない。一度切れて、すぐに鳴り始めた。部屋まで一メートル足らずなのにそこに行くことが出来ない。花南はトイレのドアに何度も額を打ち付けた。誰もいない部屋に、その音は何度も何度も響き渡った。勝手に出てくる涙で、顔がグシャグシャになる。花南はそのまま、しばらく泣いた。そして、トイレットペーパーでグシャグシャの顔を拭くと、立ち上がり、大きく深呼吸をした。

「とにかく、生き延びなくっちゃ」

大きく声に出し、ドアに拳を突き出す。(つづく)

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フェンダーのコラボTシャツ

くるたんパパさんのブログでも紹介されていたのですが、以前、ユニクロのチラシにフェンダーとのコラボTシャツ限定990円というのがありました。買いに行こうと思ってて、お昼にビールを飲んでしまい、結局は行けなかったので後悔していました。

一昨日、仕事の帰りにロフトにあるユニクロにこのTシャツがありました。しかも、990円!!

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土日じゃなくともあったりするのですね。ラッキーでした(^^)。

ついでにロフトでこんな物も買ってきました。

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「ねぎまる」というスライサー(約400円)です。

ねぎや、キュウリ用のスライサーで、裏がおろし器になっています。夏になったので、そーめんやひやむぎなどを食べる機会が多くなるので、これで薬味用のネギをと思っています。包丁で切った方が速いやろ!!って突っ込まれそうですが……ゆで卵の穴開け器もそうでしたが、ロフトでこういう物を探して買ってくるのが趣味というか、好きなものですから、ついつい。うちの奥さんは「フン!!」という感じで、一瞥しただけでした。

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2012年6月 7日 (木)

アメリカ人の9割が肥満?

またまた体重の話ですみません<(_ _)>

今日、仕事の帰りしな、たまたまバスに乗り合わせた男性が言っていた話です。

隣に座った、バックパッカーの観光客風のその男性(55歳)が僕に「このバスは京都駅に行きますか?」と、質問されたことから話が始まりまた。顔は日本人なのですが、少しだけアクセントが違います。「ご旅行ですか?」と訊ねると「はい、アメリカから来ました。5歳からアメリカに居るので50年振りです」と彼。「日本語が上手ですね」と言うと「小さい時に母が亡くなり、母が亡くなってからは、周りに日本語を話す人が誰もいなくなったので、NHKのテレビを見て日本語の練習をしていました」 なるほど!!

それから彼は「日本人はみんな細いですね。アメリカ人はみんな太っています。それも日本人の太っているのとは桁が違います。僕の日常の感じから言えば、90%のアメリカ人がデブです」とのこと。彼も少し太っていましたが「僕は、これでもみんなからスマートだと言われているのですよ」と言って笑っていました。子どもの肥満はもっと深刻で、学校では食育が盛んなのだそうですが、家に帰ると高カロリーで、量がやたら多い食事なので、食育の効果があまり現れていないそうです。

「日本の食事は最高に良いです。ただ、なかなかお腹いっぱいにはなりませんね。お上品です」と言って、笑っていました。

やっぱり、食事って大事ですよね。

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2012年6月 5日 (火)

腹筋ダイエット?

大阪大学の石黒浩(ロボット工学)さんの本を読んでいたら、彼は三ヶ月で10㎏減量したそうです。

別に病気とかではなく、健康のためのダイエットなんだそうです。もともとそんなに太っている人ではないのですよ。

石黒さんは「本来凝り性の私にとっては、モチベーションがはっきりすれば、徹底して取り組むことが出来る」そうで、科学者らしい意志の強さを彷彿とさせます。

どんな方法で減量したかというと、「一番痩せるために鍛えるべき筋肉はどこか。人体の中で最も大きくて、最もエネルギーを消費する筋肉を鍛えればいいのだ」そうで、「その筋肉は腹筋である。腹筋は人体の中で最も大きく、エネルギーもたくさん消費する部位である」ので、腹筋運動をしたそうです。ホームセンターで5千円の腹筋運動用のベンチを買って、毎日腹筋運動をしたそうです。繰り返していくうちに、百回位、連続して出来るようになり、お腹まわりがすっきりしたそうです。

しかし、体重は思うように減らなかったので、間食時にお腹が空いたときに、腹筋をすることにしたら、空腹を忘れ、間食をまったくしなくなり、三ヶ月でマイナス10㎏になったそうです。

僕は、こういう方法でしたことがないので、自分に合っているのかどうかはわかりません。人によって随分違うと思うので、あくまでも参考まで。

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2012年6月 4日 (月)

スーパーで、同情されているのかな?

今日は、午後からの仕事でしたので、午前中に近くのスーパーにお昼の買い物に行きました。

レジで会計の時に、レジ係りのおばさんが、全部袋にいれてくれて、それだけじゃなく「気をつけて帰ってね」などと言ってくれます。

これは、今日だけで無く、よくあることなのです。

さすがに、夕方の忙しい時はあまりないのですが、こんな風に、午後からの仕事の時に買い物に行くと、だいたいレジで袋に入れてくれます。

きっと、平日の昼間に買い物に来るというのは、リストラされて、奥さんが働きに出ていて、奥さんに頼まれて買い物に来ている気の毒な人なんだなと思われているのかもしれません。

そういえば、近所なので、あんまり格好も構わないし、適当な格好でぶらっと来ているという感じなのでよけいそう思われているのかもしれません。不思議なことに、そう思われていると思うと、自分はそういう境遇なのだと思い込んでしまい、そういう風に振る舞ってしまうのです。

そして、スーパーの袋を下げてぶらぶらと帰るのです。

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2012年6月 3日 (日)

小説 「3・3㎡/2」連載5

「花南さん、手をつなごう」

そう言って差し出した紗也香の手はちっちゃくて温かかった。三人で並んで歩くと、ひとつの家族のようで、花南には新鮮で、心地よいものであった。「結婚て、悪くないわね」などと、ふっと思ったりする。右側が少し欠けてしまった十七日の月が、ぽっかりと頭の上に浮かんでいた。

花南のマンションの途中に祥吾の両親の家があった。古くからある住宅地の一角で、決して新しい家ではないが、平屋建てで、玄関までの石畳のアプローチの側に、薄紫のリンドウが月明かりにぽっかりと咲いていた。目隠しの木格子を背景にしたドウダンツツジが色づき始め、マンション暮らしの花南には、心が落ち着く佇まいであった。

「紗也香を両親に預けてすぐに戻りますから、ちょっと待っていてもらえますか」

「いいえ、もう近くですから、一人で大丈夫です。ありがとうございました」

「すぐに戻りますから、送らせてください」

花南は祥吾の言葉に素直に甘えることにした。それは、花南も期待していたことに違いないのだと思う。少し色あせたモスグリーンのドアを開けて二人が家に入る。薄暗かった花南の周りが、一瞬明るくなってまた元に戻る。「おばあちゃん、こんばんは」という紗也香の明るい声がドア越しに聞こえ、後は何も聞こえなくなった。足元のリンドウが、月明かりの中で、少し不安げにゆれていた。

間もなく、ふたたびドアが開いて灯りが漏れた。数分しか経っていないのに祥吾の顔が懐かしい。

「お待たせしてすみません。行きましょうか」

道路に出ると、祥吾は、ビニール袋に入った赤いりんごを目の前にかざし、

「うちの父の田舎から送ってきたりんごです。昂林と言うんだそうです。甘くて歯ごたえが良く、美味しいですよ。よかったら食べてください」

「ありがとうございます。私、りんごが大好きなんです。それも、固めのシャキシャキっとしたリンゴが……」(つづく)

※短いし、あまり、ストーリーに展開がなくてすいません。

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2012年6月 2日 (土)

小説 「3・3㎡/2」連載4

夕食は、ハンバーグやエビフライ、チキンライス、サラダなど、おそらく、紗也香の好物であろう献立が並んでいた。祥吾が昨日から仕込んで準備をしていたものらしい。祥吾はビールを、花南はワイン。紗也香は今日だけ特別に許されたマンゴージュース。紗也香の学校での話やテレビの番組の話など、紗也香中心の話題であるが、紗也香の話から時折出てくる祥吾の日常に、花南は親しみを感じた。部屋は、ほどよく暖房が効いており、よく冷えたワイングラスについた、小さな水滴が指に心地良い。

夕食が済み、祥吾が挽いてくれたコーヒーの香りを楽しみ、三人でトランプをした。トランプなんて、何年ぶりだろうなどと思いながらも、花南は心から楽しめることに素直に幸せを感じた。紗也香もすっかり打ち解けてくれたようで、花南の側を離れない。七ならべは、花南の独断場だった。次は紗也香かな。祥吾は一応作戦を立ててはいるようだが、ことごとく花南や紗也香に見抜かれて、何回やっても負けていた。ばば抜きでは、ジョーカーを持った紗也香が、抜きやすいように、わざと真ん中に突きだして引かせようとして、それが見え見えなのだが、祥吾はわざと引っかかる。得意げな顔の紗也香と、悔し顔の祥吾が微笑ましいと思った。

「はい、今度はお花屋さん」

カードを手にしたまま、ぼんやりと見ていた花南に紗也香が声をかける。

「紗也香、お花屋さんじゃなくて、花南さんだよ」

「うん。じゃー、今度は花南さんだよ」

リビングルームに置かれた、ごくシンプルなオーディオボードの横に花南がこしらえた秀明菊が細い陶器の白い花瓶にすっきりと置かれていた。オーディオから控えめに流れているリサ・ガーシュテンの日本語の童謡は、紗也香のために選んだのだろうな―などと、ふっと考える。トランプゲームが一段落して、時計を見ると、もう九時を回っていた。

「すっかり長居をしてしまいました。ごめんなさい。そろそろおいとまします」

そう言って花南が立ち上がる。

「いいえ、こちらこそ、引き留めてしまってすみません。久しぶりに楽しいひと時を過ごせました。ありがとうございます。明日は出勤しなければならないので、紗也香を両親の所に預けます。途中ですので、いっしょに行きましょう」

予想もしていなかった祥吾の言葉がうれしかった。(つづく)

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2012年6月 1日 (金)

小説 「3・3㎡/2」連載3

「わざわざすみません。ホントにありがとうございます。娘も喜びます」

祥吾は、そう言って花南を迎えてくれた。翌週の金曜日の夕方のことである。花南のマンションと同じ方向なので、土日にかけて、一泊の小旅行の予定もあり、少し早く仕事をあがらせて貰い、帰宅の途中に立ち寄った。五階建ての小さなマンションで、それぞれの部屋はさほど広くなさそうだが、二人が住むには十分なのであろうと花南は思った。

「さやか、お花屋さんがお花を届けてくれたぞ」

祥吾が部屋の奥に声をかけた。

「やったー!」

どたどたと、大きな足音と共に、二つに髪を括った、ピンクのジャンパースカートの小さな女の子がいっぱいに微笑んでやって来た。

「さやかちゃん、お誕生日おめでとう」

花南が、コスモスとオンシジュウムを中心にまとめた花束を渡すと、

「うわー、きれい。お花屋さんありがとう」

花南を見つめる大きな瞳は、今日仕入れた季節外れのトパーズ色のアネモネを連想させた。

「はい、これは私から」

ディズニーのミスバーニーをデザインしたポシェットを手渡した。紗也香は、大事そうにポシェットを抱え、奥の部屋にもどった。

「どうもすみません。お礼と言っちゃ何ですが、もし、よかったら、いっしょに晩ご飯を付き合ってもらえませんか」

思わぬ誘いに、花南は少し戸惑い、そしてきっぱりと

「お付き合いしましょう」

両手を後ろに組み、やや胸を反らせて、笑いながら言った。普段の花南なら、絶対に断っていたはずなのに。(つづく)

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