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2012年6月12日 (火)

小説 「3・3㎡/2」連載8

※<お詫び>前回切るところを間違えてしまい、今回結末のわずかなものになってしまいました。すいません。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

突然、居間から電話の音が聞こえた。電話は時間を置いて、何度も何度も鳴り続けた。母と祥吾が呼んでいるのかもしれない。覚醒しつつある意識の中で花南は思った。そして、ゆっくりと目を開け、右手の人差し指のかすかな傷跡を唇に当てた。花南の唇が甘酸っぱいりんごの香りを思い出した。ほんの僅かずつであるが、身体に生気が蘇るような気がした。

「きっと助けを呼んでくれる」

そう確信した。

数時間後、玄関のドアを激しく叩く音がした。チャイムが何度も鳴る。花南は必死にトイレのドアを叩いた。そして、力の限り叫んだ。ここで、すべての力を出し尽くしてもいい。これが最後なのだから。そして、玄関のドアの開く音が聞こえた。

「結城さん、結城さん。三田署の者です。大丈夫ですか、結城さん」

男の声に続いて、花南を呼ぶ祥吾の声が聞こえた。その声を聞きながら、花南は、唐突に「祥吾と結婚しよう。三人でいっしょに暮らそう」と思った。そして、意識がスーっと消えた。(了)

【参考文献】朝日新聞2010年12月17日朝刊記事「自宅トイレ閉じこめ8日」

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小説・童話」カテゴリの記事

コメント

何日も閉じ込められて、祥吾さんのそばに居たいと思ったんですね。

投稿: ブルー・ブルー | 2012年6月12日 (火) 10時48分

やはり、あの閉じ込められたおばちゃん
の話を参考にされていたんですね。

花南、助かるとは思ってたけど、
(^。^;)ホッ!

助かった瞬間に花南が唐突に
「祥吾と結婚しよう。三人でいっしょに
暮らそう。」そう思うのもわかるような
気がします。きっと祥吾も同じことを
考えてると思います。(*^ ^* )V

投稿: casa blanca | 2012年6月12日 (火) 13時05分

ブルー・ブルーさん
もし、自分がこうなったらどんな気持ちだろうと想像した所からこの物語を書こうと思いました。
自分の家なのに、1カ所に何日も閉じ込められるって……すごいことです。

投稿: モーツアルト | 2012年6月13日 (水) 01時00分

casa blancaさん
そうなんです。あの記事がすごく衝撃的で、ついに小説まで書いてしまいました。主人公は実際より随分若くなりましたが……。

>助かった瞬間に花南が唐突に
「祥吾と結婚しよう。三人でいっしょに
暮らそう。」そう思うのもわかるような
気がします。

何人かの人に読んでもらったら、あまりに唐突すぎるという感想で、「そうかな?でも、そう思ったりすると思う」と、自分では思っていたのですが、casa blancaさんの感想を読んで、やっぱりそうやろって嬉しくなりました。ありがとうございます。

投稿: モーツアルト | 2012年6月13日 (水) 01時05分

実際に閉じ込められたおばさん、
不安だったでしょうね。

ウサギだったら寂しく死んでいたでしょうね。

人を好きになるって、
いろんなことの積み重ねですよね。

惹かれていく過程が、
とても自然で良かったなぁ〜

投稿: くるたんパパ | 2012年6月13日 (水) 07時31分

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