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2012年7月 7日 (土)

小説 アンドロイド「AYA/2nd」第5章 連載11

「アンドロイド?」

イスに座っている方の三宅を指さして昇が聞いた。三宅は、いたずらを仕掛けて、うまく成功してうれしがっている子どものような顔をして笑っていた。

「正確にはジェミノイド。僕に似せて作ったアンドロイドだよ」

三宅が得意げに人差し指で鼻を持ち上げながら言った。自慢する時の三宅の癖は学生時代のそれと同じだった。

「ジェノロイド?何それ?」

「ジェミノイドだよ。ジェミノイドとは、双子座を意味するGeminiと『もどき』を意味する接尾辞oidを合わせて作った造語だよ。つまり僕のコピーさ」

三宅はあくまでもうれしそうである。質問もしていないのに、さらに続ける。

「このジェミノイドはネットワークを通じて、コンピュータで遠隔操作をする。僕が命令したように動作をし、僕が話したとおりに話す。姿形も僕とそっくりに作っている。基本的にはコンピュータでコントロールするけど、動作やセリフを記憶し、プロクラム化することも出来る。何でも出来るわけじゃないけど、ある程度は自分で動いたり、話したりすることも出来るわけだよ」

亜弥と比べるとかなり原始的だと思ったが、三宅に敬意を払い、昇は、一応感心して見せた。まだまだ説明したがっている三宅を、とりあえず制止して

「君に協力して欲しいことがある……」

昇は、亜弥が突然やって来たことや、亜弥との生活、そして、突然失踪したことなどを三宅に話した。三宅は、せっかく自慢した彼のジェミノイドをちらっと見た後、腕を組んで机の角におしりを乗せて、うーんと唸って考え込んでしまった。僕が三宅をからかうために滋賀県にある三宅の研究室までわざわざやって来たとはどう考えても思えないので、この話をどう解釈していいのか本当に困っているようだった。そして、いつもそうしてくれたように、ちょっと困った顔で笑って

「ようし、わかった。亜弥を探そう」

と、言ってくれた。

「たぶん、この大学のどこかに拉致されていると思うんだ」

人間じゃないので拉致というのは変かなと思いながら昇が言った。

「うん、経過から考えるとその可能性が大きいな。どうやって探そう……」

一度、天井に視線を向けてから

「GPSだ。彼女の目、つまり高性能カメラには必ずGPS機能がついている。これは、シャットダウンされても停止しない。まずはそれの解析からだ」

三宅はそう言うと、すぐに自分のデスクトップのパソコンに向かってキーボードを叩く。

「簡単に見つかるのか?」

昇が不安げに訊ねると

「比較的簡単さ。この端末はうちの大学のスーパーコンピュータに繋がっている。普通のコンピュータでは難しいが、うちのスーパーコンピュータは優秀だ」

うれしそうに言いながら、画面の激しくスクロールする数値を見つめる。隣に座っているジェミノイドは三宅の方を向いたままじっとしている。昇がジェミノイドの頭をこつんと叩いても何の反応も無い。三宅の叩くキーボードの軽い音と、ハードディスクの小さなモーター音以外は何も聞こえない。亜弥が見つかったわけではないが、昇は気持ちが少し軽くなった。(つづく)

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コメント

さすが工学博士の三宅
頼もしいですね。

GPS発信機のついたものって、周りに
結構沢山あるんじゃないのかなぁ。
その中から、どうやって亜弥を探し当てる
んだろう?

がんばれ、スーパーコンピュータ!!

投稿: casa blanca | 2012年7月 8日 (日) 05時19分

先日、新潟で千葉工大の先生の講義を聴いてきました。
いま福島原発で活躍しているロボットを作った方です。
人間の代わりに建屋に入って内部がどのようになっているかを調べるロボットです。
でも高い数値の放射能でロボットさえも壊れてしまうようです。
そんな話を聞きながら亜弥がいれば、原発対策ロボットで大活躍するだとなぁ、なんて考えていました。

投稿: くるたんパパ | 2012年7月 8日 (日) 07時31分

三宅・・・信用していいのかと、疑っているのは私だけかな。
亜弥のほうが進化したロボットだから、見てみたいと思ってるとか、仕組みを調べたいとか・・・
あ~ひねくれた想像かな。

投稿: ブルー・ブルー | 2012年7月 9日 (月) 17時16分

casa blancaさん
スーパーコンピュータはかなり優れものだそうです。ですからすぐに見つかりますhappy01
これからもよろしくお願いします。

投稿: モーツアルト | 2012年7月 9日 (月) 21時55分

くるたんパパさん
ロボットはいろんな所で活躍出来そうですし、活躍していますよね。自動車もロボット化しつつありますからね。
でも、感情を持つというところがこれからの課題だし、興味深いところですね。

投稿: モーツアルト | 2012年7月 9日 (月) 21時59分

ブルー・ブルーさん
そういう発想はとても参考になります。この三宅さんはそこまで考えていないのですが、そういう展開もあり得ますよね。

投稿: モーツアルト | 2012年7月 9日 (月) 22時01分

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