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2012年7月

2012年7月30日 (月)

MINI関連グッヅ、オリンピックバージョン

MINIの夏の点検にしたら、こんなグッズをもらいました。

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屋根にユニオンジャックが貼られています。ロンドンオリンピックバージョンだそうです。なかなか可愛らしくないですか?

何に使うアクセサリーかというと

こんな風にメモや気に入った写真などをクリップしておきます。僕は本当によく忘れるのでメモをクリップしています。このお陰で忘れ物をしないで済みました(^^)。

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もう一つは水筒です。これは魔法瓶にはなっていないのですが、結構保温性もあるので、まあ、使えそうです。車内のボトルキープに置いておくといいかもしれません。

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どれも高価な品物ではないのですが、MINIファンにとってはとてもうれしいグッズです。

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2012年7月29日 (日)

小説 アンドロイド「AYA/2nd」第5章 連載16

後15分

突然ドアが開いて黒いスーツの男が飛び込んできた。昇が「あの男だ。マンションを見上げていたあの男だ」と思った瞬間、鼻先に拳が飛んできた。昇の鼻が右側に歪み、歪んだ鼻孔から鮮血がぬるりとたれる。「鼻血だ」と意識した瞬間、みぞおちが激しく痛み、反り返った顔が今度は下を向いて、そのまま膝をついて床に崩れ落ちた。男はすばやく移動し、無防備に茫然と立ちはだかるジェミノイドの腹に鋭い蹴りを入れた。男の黒い靴の先がアイボリーのセーターに深々と刺さったかと思うとすぐに抜かれた。一瞬、入り組んで窪んだ毛糸が元に戻ると同時にジェミノイドが崩れ落ち動かなくなった。男が亜弥に近づく。昇はみぞおちの痛みに耐えながらふらっと立ち上がり、さっきの金属パイプを取り上げた。男の背後から金属パイプを打ち下ろした。男は振り向きざま上体を少しずらし金属パイプをやり過ごした。昇を一瞥して唇だけで笑った。金属パイプは亜弥が乗った工作台に当たり嫌な金属音を立てた。その反動が金属パイプを通して昇の腕に伝わり、昇は顔を歪めてパイプを落とした。次の瞬間脇腹に男の側刀が入った。脇腹の痛みに耐えながら、横たわる亜弥の顔を見た。目は閉じているが、昇に何かを語りかけているような顔だった。昇はかろうじて体制を立て直し、男に再び対峙した。頭のどこかで、自分にこんなに勇気があったことに感心している。苦痛による汗なのか、動いたためなのか、昇の額は汗で濡れていた。鼻血は、唇に少し掛かった所で半分乾いていた。

「懲りない奴だ」

挨拶を交わすような笑顔でそう言うと、男はポケットから小ぶりのナイフを取り出した。金属のライターを手のひらで弄ぶようにした後、親指でボタンを弾くと十㎝ほどの刃が飛び出してきた。この男は本気だ。人を殺すことに何のためらいも感じない、そういう種類の人間なのだと昇は理解した。何の武装もしていない素手の自分に敵うわけが無いと理解していてもここから立ち去るという選択はあり得なかった。

「ほう、なかなか勇気がお有りだ。僕はこういう相手が一番好きだ。無抵抗の人間を刺すなんていうのはまったくつまらないし、やり甲斐がない。人を刺すときも、出来るだけ苦痛を味わって死んでいって貰わないと失礼だ」

男は同意を求めるように昇を上目で見て、小さく斜めに頷き、それからゆっくりナイフを構え、右手を少し引いた。

数秒後に自分の胃に深々と突き刺さるナイフと鋭い痛みを想像し、昇の体に力が入り、動けなくなった。目だけが、男のナイフを追っている。男が引いたナイフの後ろに亜弥の顔があった。ナイフを見ていた視線が亜弥の顔に移った。ナイフがぼやけ、後ろの亜弥の顔にぴたりと焦点が合う。閉じていた亜弥の目がすーっと開き、昇と目が合った。亜弥が笑った。昇も笑った。強ばっていた昇の表情が笑顔に変わったことに怪訝な表情を見せた男は、しかしながら躊躇うことなく真っ直ぐに昇にナイフを付きだしてきた。

昇の胃へ届くはずだったナイフが止まった。

不意に止まった自分のナイフを見つめ、それから、動きが止まった原因を究明するかのように、男は振り返った。そこには、男の右腕をしっかりと掴んだ亜弥がいた。

亜弥はそのまま男の腕を引きつけ、両手で男の右腕を捻った。ナイフが音を立てて床に落ちると同時に捻ったまま男の体を返し正面を自分の方に向けた。左手で男の腕を押さえたまま、真っ直ぐで力強い正拳を付きだし、みぞおちに当たった瞬間にすばやく拳を引いた。

「ウッ」

と、つまったうめき声を上げて男は泡状の白い粘った液体を吐いた。眉をしかめて男が顔を上げ、亜弥の方を向いて構えた。男の口から、粘った白い、未消化の液体が糸状に垂れ下がっていた。工作台から降りた亜弥は上半身が裸で、小さく形の良い乳房が、降りた瞬間に、ゆらっと揺れた。男と昇の目が一瞬それを捉えた。男は上半身は構えたままで、鋭い蹴りを亜弥に突き出す。亜弥はそれをゆらっとかわす。男は続いてくるりと振り返り、高い回し蹴りを亜弥の頭に繰り出した。亜弥の腕がそれを捉えた。バランスを失った男が昇の目の前に倒れこんで、床に頭を打ち付けた。(つづく)

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2012年7月26日 (木)

ピアノが寛ぎの場所にされてしまいました。何でピアノが好きなの?

ジジ(黒猫、♀生後4ヶ月位)のお気に入りの場所になってしまいました。

これってホントに困ります。

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たまーにピアノでも弾こうかと思ったときにここに居ます。

どかしても、どかしても上ってきます。鍵盤が好きなようです。それも違う場所でも、鍵盤の上で寛いでいます。

左の写真のピアノの鍵盤のピンクのシートがお気に入りで、いつも咥えてどこかに持っていくので、無くなってしまいました。

右側のピアノの鍵盤のシートはまだ無事なようです。

まだ子どもなので、本当にやんちゃで困ります。起きているときは、家中を走り回り、寝ている僕の足を咬みに来たり、あちこち上ったり、降りたり……ホントに疲れます。

そして、やっと落ち着いたと思ったら、ピアノの上で寝ています。やれやれ。

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2012年7月25日 (水)

小説 アンドロイド「AYA/2nd」第5章 連載15

ジェミノイドがそれを踏んだ。レンズの外れた銀色のメタルフレームが異様な形に歪んでいた。真崎は胸を押さえながら床に座り込んでいる。完全に戦意を失っているように見える。昇の怒りは考えられない力を与えてくれたようだ。

「君の足のタオルを取ってくれ」

ジェミノイドが右足のタオルを外し、昇に手渡す。昇は、真崎を後ろ手にしてタオルで縛る。さらに、近くのコンセントに差し込まれていた延長コードを抜いて、真崎の足を縛り上げた。

「この人には少し眠っていて貰おう。せっかく持ってきた薬だから使わないともったいないよね」

そう言って、錠剤を真崎の口に入れ、コップの水を流し込んだ。抵抗する気力も無くなったようで、あっさり飲み込んだ。昇は真崎の両方の脇の下に手を差し込んで、そのまま隣の部屋に引きずっていった。ジェミノイドが再び亜弥の側に立ち、起動を試みる。

「何とかなりそうか?」

戻ってきた昇が訊ねる。

「かなり電圧の高い、強力な電気を一瞬流して強制的にシャットダウンしたようだね。復帰はなかなか難しそうだ。周波数を変えながら、弱い電流と、信号を送り、亜弥の反応を見るしかない」

ジェミノイドは、まるで指圧でもするように亜弥の体のあちこちに指をあて、反応を見ているようであった。昇は腕時計を見て、残りの時間を確認するだけで他に為す術もない。それでも、

「僕にやれることはないか?」と、訊いてしまう。

「今は何も無い。それよりも、他に誰かが入ってくかもしれない。入り口をよく見ておいてくれ」

ジェミノイド自身の言葉なのか、三宅の言葉なのかわからないが、もうどちらでも良い。とにかく、何とか亜弥を起動させて欲しいと願いながらドアの側で見張りをすることにした。

腕時計のディスプレイは午後一時を表示していた。ジェミノイドは同じ作業を続けている。しかし、よく見ると、ジェミノイドの指先が触れた人肌ゲル[i]がうっすらとオレンジ色に変わり、また元に戻る。ジェミノイドの指が当たった部分にカリフォルニアポピーの小さな花がつぎ次に咲き、咲いたとたんに消えてしまうような不思議な光景だった。またそれは、指先を通してジェミノイドが話をし、亜弥がそれに答えているかのようにも見える。かなりの時間、ジェミノイドと亜弥の言葉の無い会話が続いた。

後三十分

亜弥の体のオレンジの小さな明かりが、やがて黄色に変わり、肌色のもっと小さな点滅に変わり、全身が光を帯びてうっすらと輝いた。昇は目が離せなかった。ジェミノイドの指はもう何にも触れていない。

やがて、亜弥の体の光が、指先から順番にゆっくりと消えていき、最後は心臓に全ての光が飲み込まれるように静かに消えた。部屋の明かりが元に戻る。ジェミノイドの指が、再び亜弥の額に触れる。同時に、透明に近かった亜弥の肌が、本来の色彩と温度を取り戻したように、活き活きとした温もりに包まれた。

「起動したのか?」昇がおそるおそる訊ねる。

「ああ。後は、自動的にローカルエリアにつながったはずだ。これからネットワークを通して亜弥の頭脳に進入する。ハッキングだ。プログラムを修復する必要がある」

これは、スーパーコンピュータの端末の前に居る三宅の言葉なのだろうと昇は思った。ディスプレイを睨みながら、キーボードの上を激しく動く三宅の指先を想像した。

「ダメだ。もう一つのキーがわからない。解析できない」

三宅の叫び声がジェミノイドを通して聞こえてきた。

「パスワードが解析出来なかったのか?」

「いや、パスワードは解った。でも、もう一つのパスが通らない。それは数列や文字列ではないようだ。何と言うか、例えば、自然の音や、音楽のような……そんなものだと思う。木村は何か心当たりがないか」

「自然の音……、音楽……」

昇はポケットに手を突っ込んで考えた。ポケットの中で手に触れた物を無意識に掴んだ。亜弥のiPodだ。

「iPod……音楽……そうだ!」

昇はiPodの電源を入れ、亜弥が最後に再生したログを調べる。「復活だ。マーラーの復活だ。バーンスタイン、ニューヨークフィル」

昇が叫んだ。

「マーラーの復活か、よし、それを亜弥に聞かせてくれ、すぐに頼む」

三宅も興奮していた。昇は亜弥の耳にイヤホンを突っ込み、再生アイコンにタッチした。亜弥のイヤホンから音楽ともノイズともとれる音が漏れ聞こえてきた。

「行けたぞ。成功だ」

三宅の弾んだ声が聞こえ、すぐに何も聞こえなくなった。(つづく)


[i] 人間の肌にそっくりの素材

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2012年7月19日 (木)

小説 アンドロイド「AYA/2nd」第5章 連載14

亜弥には感情があると思っている。それは、亜弥の言動を解析して見いだすものではなく、昇の感情が自然と認識したある種の信号である。そして、亜弥が自動車のような機械ではなく、かけがえのない存在なのだということを痛いほど感じた。

「何をしてるんですかね」

背後からの突然の声に昇は悲鳴を上げそうになった。黒いスーツ姿の真崎が神経質そうに指先をこすりながら立っていた。二人は真崎のシニカルな唇を見つめるだけで、口はまったく動かなかった。

「人の部屋へ入るときは、相手の同意を得るものだと思うのですが、どうでしょう。これは市民的規範の範疇だと思いますが……そちらの三宅先生はどう思われます」

人差し指でメガネを少し持ち上げて、真崎が言う。

「亜弥を連れ出したのはやっぱり君だったんだ。こんなひどいことを……」

「おやおや、木村さん、私は忠告したはずですよ。お互いに愉快で無いことが起こるかも知れないって。実際に起こってしまったじゃないですか」

真崎は困ったような顔をした。

「何故、こんなことを」

「何故、こんなことを……」

昇の言葉を反芻しながら真崎は続けた。

「ここの、ロボット工学の黒田教授が堪に障るんですよ。私のような助教をあごで使い、苦労して研究し、実験を繰り返した成果を、まるで自分がしたかのように持って行ってしまう。僕は、これからとてつもなく可能性のあるアンドロイドの研究で彼を見返してやりたい。いくつかの大手の企業が僕の研究のスポンサーになってくれる予定だ。早く研究の成果を出したい。そのためには亜弥さんのノウハウが必要なんですよ。分解して細かいメカニズムも確認したいし、何よりも人工知能を解析したい。学会で発表したら、皆驚きますよ。そして僕を見直すはずだ。多少の危ないことも平気ですよ」

真崎は右の口角だけ少し上げて笑った。それからスーツの右ポケットに手を入れてゆっくりと、手のひらにすっぽりと収まってしまいそうな小型の拳銃を取りだした。昇は、自分の方を向いた銃口に付いた白い糸くずをぼんやりと見ていた。

「これは、こんなに小さいんですが、この距離からだと、間違いなくあなた方に重傷を負わせることが出来ますよ。いや、当たり所によっては命に関わるかもしれませんね。こんな物は使いたくないのですが、ここまで来てしまったあなた達を何事も無かったかのようにお引き取りいただくわけにもいかないものですから。まあ、とりあえずゆっくりして行ってください。ぐっすり眠っていただくための薬も用意していますよ。目が覚めた時は琵琶湖の中だったりして」

そう言って、少し笑うと、今度は拳銃を構えたまま、スーツの左側のポケットに手を入れ少し大きめの錠剤を取り出そうとした。その時、錠剤が引っかけたハンカチもいっしょに出てきた。アイロンの掛かった、きちんと折りたたんだグレーのハンカチがポケットから全て姿を現し、錠剤から外れてゆっくり落ちていった。三人の目がそれを追いかける。開きかけたハンカチの隅のMのイニシャルが見えたところで、ハンカチがふわっと着地した。真崎の視線が元に戻るよりも僅か前にジェミノイドが動いた。少し下がった拳銃を持つ手に飛びついた。同時にパン!という乾いた音。ジェミノイドの右足のチノパンに小さな穴があき、布が焦げた臭いがした。シリコンを貫通した小さな弾丸が床に当たり転がる。それが止まる前に昇が動いた。工作台に立てかけてあった金属パイプを取ると、ジェミノイドが捕まえている腕の先にある拳銃を叩いた。金属どうしがぶつかる鋭い音がして、拳銃が床に落ちた。そのまま工作台の下に滑り込む。振り落ろした金属パイプを野球のバットのように少し後ろに引いて、そのまま水平に真崎の胸をヒットした。真崎の体が一瞬くの字になり、髪の毛が逆立った。メガネが落ちて床で一回転して止まる。ジェミノイドがそれを踏んだ。レンズの外れた銀色のメタルフレームが異様な形に歪んでいた。真崎は胸を押さえながら床に座り込んでいる。完全に戦意を失っているように見える。昇の怒りは考えられない力を与えてくれたようだ。(つづく)

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2012年7月18日 (水)

ケータイが無い!!ええー落としたのかな?

あれ?ケータイどこにやったかな?

などと考えていて、まあ、いつものことや、どっかにあるやろ。と思って翌日。家の電話から僕のケータイを呼んでみると「電源が入っていないか、電波の届かない場所にあります」という返事でした。

「ん!!」

そんなことはあり得ないと想いながらいろいろと考えてみると、どうやら落としたようなのです。

原チャリに乗ってからケータイを見かけていなかったので間違いないと気付いたのが翌日の午後でした。24時間以上気付いていなかったということになります。

あわてて(今頃遅い!!)ドコモに電話したら「警察から落とし物の連絡が入っています」ということでした。初めて分かったのですが、持ち主にではなくドコモにまず連絡が入るようです。さらに翌日の今日、警察に取りに行きました。やはり、原チャリに乗っているときに落としたようです。

幸い、拾ってくれた方が良い人で、わざわざ交番まで届けてくださったようです。本当に感謝です。

落とした時の傷は多少あるのですが、きちんと使える状態だったので、安心しました。何よりもケータイに保存された情報が悪用されていないことに感謝でした。

やっばり親切な人が居られることに心から救われたような気がします。

警察に行くと、僕のようなケータイをなくした人が何人か引き取りに来ていました。

これからは気をつけようと心に誓いました。

ありがとうございました。

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2012年7月16日 (月)

MINIのセンス?扇子に感謝

車の点検のことでたまたまMINIのお店に行ったら、こんな扇子をもらいました。

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この三日間の連休だけのサービスだそうで、良い時に行きました。2種類あって、もう1種類はユニオンジャックのデザインだそうで、それはもう無くなったそうです。僕がもらったのも、最後の数本だそうで、なかなか人気があったそうです。

汗かきの僕はとって、扇子は必需品です。歩いて駅まで行くと、電車に乗った途端汗がどどっと流れてきます。その間に扇子で扇ぐとかなり楽になります。でも、いつも使っている扇子は少し年寄り臭いので、ちょっと躊躇いがちに使っていました(別にそんな必要もないのですが(^^;))。

でも、これだと堂々と使えそうです。いっしょに行ったうちの奥さんは「こっちの方が目立ち過ぎて恥ずかしいと思うけど!!」とのご意見でした(なるほど)。

今日の大阪は(全国的にですが)とても暑くて、もう本格的な夏が来たようです。もう少ししたら夏眠に入ります(^^;)。

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2012年7月15日 (日)

またまた夜の闖入者、困ったものです

そろそろ寝ようと思って、何気なくカーテンを閉めたら、カーテンからぽとって僕の腕に落ちてきました。

「ん?」

視線が腕に動いた瞬間それが何かわかりました。

僕が地球上で(見たことがある範囲ですが(^^;))もっとも嫌いなムカデでした。

あれほど春から用心して、ベランダの下もきれいに整備したり、ムカデよけの薬を散布したりしたのに……

なんとしぶといのでしょうか!!

夜中だということも忘れて、悲鳴を上げながら隣の部屋に殺虫剤を取りに行っている間にムカデは姿を消していました。

それから小一時間、懐中電灯と殺虫剤を抱えて捜索したのですが、徒労に終わりました。

その晩は布団を持って隣のリビングに撤収。

翌朝起きてきたうちの奥さんが、リビングで寝ている僕を見て

「あら、またムカデね」

と、何の感慨も無く仰っていました。

翌日にはバルサンを焚いたのですが、効果があるのか無いのか。未だにリビングで寝ています。自動的にうちのジジもリビングに移動して寝ています。

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あのムカデを発見して撲滅しないことには、安心して部屋に寝ることが出来ません。

「原発よりもマシか」などと、比較にならないものを比較して納得させようとしますが、うまくいきません。

やれやれ。

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2012年7月14日 (土)

夏の高瀬川界隈……まだあまり暑くないです

少し前のことです。

あまり暑くならないうちにと思って、京都の七条から三条までの高瀬川沿いをぶらっと友人と歩きました。

観光客の人気スポットではないので、あまり人も居ません。昔のお茶屋や、遊郭と思しき建物がそのまま残っていたりしてなかなか面白いです。高瀬川は京都の商人角倉了以が伏見まで続く運河として工事をしたものですが、今はもちろん運河としては利用されていません。

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住民や行政の手入れが行き届いた川なのですが、中にはこんなことをする人間もいるようです。

 

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この川沿いに4月から開店した喫茶店があります。定年退職されてから始めたお店だそうで、なかなか落ち着いた店です。川に面した側は開放されていて、野生の合鴨がエサをねだりにやって来たり、大きな亀がすーっと川を泳いでいったりしています。

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この店のカウンターの隅に一升瓶がいくつか置いてあったので「夜はお酒が中心なんですか?」と聞くと「お昼でもお酒ありますよ」ということでした。お酒を飲みながら、ゆっくりと高瀬川を眺めるのもいいなーと思いながら、この日はコーヒーだけにしました。

四条を過ぎて北に上ると、お店も急に増えて、人も多くなるのですが、それでも、なかなか落ち着いて良い場所です。

梅雨が明けると暑くなるので、散策はちょっと厳しいのですが、まだもう少し楽しめそうですね。

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2012年7月13日 (金)

小説 アンドロイド「AYA/2nd」第5章 連載13

三宅の言った通りB103はロックされていた。念のために二、三度ノックしてみたが反応はなかった。昇は、ジェミノイドを降ろし、

「さあ、頼むよ」

と、声をかける。ジェミノイドは部屋番号の下のテンキーに何度が触れてみて、四桁のキーを押した。カチリという音を聞いて静かにドアを開けた。人感センサーの照明のようで、二秒後に電気が点いた。ジェミノイドの輪郭が一瞬くっきりと見え、すぐに元に戻った。昇はジェミノイドの後ろから部屋をのぞき込んだ。ドアノブを掴んでいる左腕のアイボリーのセーター袖の下から見えた部屋の中には誰もいない。コンピュータの微かな動作音と、時折点滅するアクセスランプだけが生きていた。二人は、小さな応接セットの横を用心しながら進み、右手のドアに近づいた。ジェミノイドがノブを回すと、すぐに開いた。二秒後に電気が点く。天井の蛍光灯の周りからすーっと灯りが広がる。突然、女の白い首が現れた。白いホーローのヤカンがキッチンテーブルに無造作に置かれているように、工作台の上にそれはあった。ビクっとジェミノイドが反応し、肩越しに覗いた昇が「うっ!」と呻く。二人の動きが一瞬止まり、やがて、指の先から少しずつ筋肉がほぐれるようにゆっくりと動き出し、その首に近づいた。シリコンで出来たその皮膚はヒトの肌色がきちんと着色される以前の透明に近い肌色だった。亜弥ではなかった。昇は大きく息を吐き、辺りを見回す。数台のコンピュータと小型の工作機械が置いてあるだけだった。左のドアを、今度は昇が開ける。鍵が掛かっていた。

「また君の出番だ」

ジェミノイドは前と同じように小さなディスプレイとテンキーに何度か触れてロックを解除した。この部屋は、センサーがないようで、灯りは点かなかったが、隣の部屋からの明かりが部屋の半分ほどを照らし、その奥もぼんやりと明かりが届いていた。かろうじて届いた明かりの中に亜弥が居た。オフホワイトのリブ編みセーターとジーンズの亜弥は工作台の上で死んでいた。

昇は、この状況にどう対応したら良いのかわからなかった。そして、ふっと今の自分がどんな顔をしているんだろうと考えた。泣いているのだろうか、驚いているのだろうか、笑っているのだろうか……。それから、自分の指先が激しく震えていることに気付いた。震える指が頬に触れる。冷たいものに触れる。それは拭っても、拭っても拭い切れなかった。亜弥は全ての表情を失っていた。亜弥の体の中のすべてのエア・アクチュエータ[i]ーが空気の供給を失ってしまったかのように、だらっと筋力を失い、目を見開き、唇も開いていた。それは正に死そのものだった。

ジェミノイドが部屋の照明を点けた。身動き出来ない昇の肩に手を置き、なだめるように横に退かせ、ジェミノイドが亜弥に触れる。

「これは、ダメかもしれないな。かなり手荒いことをしているみたいだ」

しばらくあちこちに触れた後にジェミノイドはそう言った。

「三宅、何とかしてくれよ。頼む。亜弥を動かしてくれ!」

昇がジェミノイドの目に語りかけた。

「お願いだ」

ジェミノイドは昇に反応することもなく、亜弥のセーターを脱がせて、体をひとつひとつ点検していく。昇はジェミノイドの人工頭脳の中を猛スピードで駆け巡る〇と一の二進数を想像して彼の指先を見つめていた。工作台の下には無数のケーブルが張り巡らされていて、それらは、奥の大型コンピュータと工作ロボットに繋がっていた。

「感情ってなんだろう……」昇は思った。

亜弥に感情はあるのだろうか。亜弥は機械に過ぎないのではないか。例え破壊されたとしても、車が事故を起こして壊れるのと同じではないか。システムの設計やデータがあれば、いくらでも再生可能なものだと思う。こんな思いをして探し出す意味があるのだろうか。まったくナンセンスな無駄なことをしているのではないか。答えは予めわかっているそんな疑問を、昇は敢えて次々と考える振りをした。人は何故泣くのか、何故笑うのか、何故人に恋するのか。感情は予めプログラミング出来るものではない。神から与えられたものであれ、人間が創り出したものであれ、知能が出来た時に、感情を生み出すプログラムが自動的に創られ、動き出すのではないだろうか。そして、神が創った全てのものとのコミュニケーションによって機能が強化されていく。いや、その知能ですら、外界との相互作用で形成されていくものではないか。「知能は、たくさんの自動的な、または無意識の環境との相互作用と行動の認識に結びついた活動から生まれる」[ii]というブルックス[iii]の言葉を思い出した。

亜弥には感情があると思っている。それは、亜弥の言動を解析して見いだすものではなく、昇の感情が自然と認識したある種の信号である。そして、亜弥が自動車のような機械ではなく、かけがえのない存在なのだということを痛いほど感じた。(つづく)


[i] 小型の高性能エアモーター

[ii] 一九八五年ロボット研究に関する第二回国際シンポジウム(仏)にて

[iii] 一九五四年生まれ。MITコンピュータ科学・人工知能研究所所長。ロボット工学教授

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2012年7月11日 (水)

清楚な桔梗が群生しています。 京都「天得院」特別公開

水曜日は、貴重な平日の休日なので、今回も京都に行ってきました。近場ではありますが、東福寺の塔頭の一つの「天得院」というお寺です。

ここは別名「桔梗の寺」とも言われています(たぶん)。6月の中旬から7月の中旬まで特別公開をしています。

毎年行っているのですが、今年もぎりぎりで間に合いました。

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                                                                                                 (この虫除け、うちにもあります(^^))

さすが、平日なので観光客も少なく、ぼーっと桔梗を見ながら過ごしました。

桔梗の和菓子付き、お抹茶セットなどをいただきながら、さらにさらに、ぼーっとして過ごしてしまいました。

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桔梗って、シンプルな花なのですが、不思議な魅力があると思います。「きつねの窓」という童話にも桔梗が出てくるのですが、何とも不思議で悲しいお話でした。そんな雰囲気がある花です。

今年の梅雨は過ごしやすくて、関電の脅しもなんのその、あまり暑い日がありません。すごく助かります。でも、梅雨が明けたら、さすがに本格的な夏がやってくるのでしょうね。僕は冬眠じゃなくて夏眠に入ります(^^;)

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2012年7月10日 (火)

イーグルスにうっとりするjiji

EAGLES THEIR GREATEST HITS 1971-1975 というアルバムを寝ながら聞いていると、うちのジジも何だか聞き惚れているように、うっとりとしていました。ラジオにすると、かばっと起きて不満そうに「ニャー」っと鳴きます。

またイーグルスのCDに切り替えると、うっとりとして聞き惚れているのです。

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(手前のが目覚まし機能付きのCDラジカセです)

ネコも音楽が分かるのかもしれません。いや、分かるのです。

因みに、僕は”DESPERADO”が一番好きです。

これからいろんな曲を聞かせて、ジジの情操教育をしようと思っています(冗談です(^^;))

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2012年7月 9日 (月)

小説 アンドロイド「AYA/2nd」第5章 連載12

「わかったぞ。工学研究棟のEだ。それも地下のようだな」

三宅が指さすディスプレイには、3Dで描かれた研究棟の模型が映し出されていた。

「そこは遠いのか?」

「いや、割と近い。この建物から三棟東に行った建物で、イーストウイングという名前だ」

昇は時計を見る。十時だ。後三時間。昇がコートを羽織ると

「ちょっと待って。このジェミノイドをつれて行った方が良い。いろいろと役に立つと思う。研究室はパスワードの鍵が掛かっている部屋が多い。このジェミノイドはパスワードを解析する。亜弥が見つかった時も、このジェミノイドがいろいろと助けてくれるはずだ」

「このジェミノイドは歩けるのか?」

「いや、まったく歩けないことはないが、三歳児程度の歩行能力しかない。しかし、体重は僕の半分だ。おんぶできない重さではないだろう」

昇は三宅の細い身体とジェミノイドを交互に見て

「そうだね。大丈夫のようだ。でも、大人をおんぶして歩くってちょっと不自然じゃないか」

「大丈夫だと思うよ。この時期、学生はほとんど居ないし、そうでなくても、この辺りの研究棟には学生が少ない。仮に誰かにあったとしても、ジェミノイドの足に包帯を巻いていたら、それほど不自然じゃないと思うよ」

そう言って、三宅は白いタオルを渡した。

「僕はここでジェミノイドを遠隔操作する。もちろん君の様子もジェミノイドを通してモニター出来る。何かあったら僕が対処する。気をつけて」

後三時間

確かに、大人の人間をおんぶしているのに比べると軽い。三宅の言うように半分位の体重なのだと思う。それにしても、やはり不自然な感じがする。まあ、今はそんなことを気にしている場合では無いと思い直して昇は三棟先の研究棟を目指した。適度な間隔で建てられた建物は薄い煉瓦色で、建物の周りに植えられた常緑樹に馴染んでいた。木立を抜けてくる冷たい風が、うっすらと汗が浮かんだ額に心地良い。突然背中のジェミノイドがしゃべった。

「どうだい。それほど重くはないだろう。研究の成果だよ。今は十分な歩行能力がないから、出来るだけ軽くしないといけない。ここまで重量を減らすのは大変だったんだ。ところで、亜弥がいると思われる部屋は、地下一階。エレベーターを降りて右手の突き当たりの部屋、B一〇三だ。たぶんロックされていると思うから、解除はジェミノイドにまかせてくれ。その部屋は四室になっていて、入ってすぐの部屋の右隣に亜弥がいると思う。コンピュータが停止している状態なので、そのままでは亜弥に進入出来ない。とりあえず仮起動させる必要がある。今は人間で言うと仮死状態だ。微力の電流と信号を亜弥に送り込まないといけない。それはジェミノイドにやらせる。それから僕がネットワークから進入する。ハッキングだよ。うまく行けば亜弥を目覚めさせることが出来るかも知れない。君が話していた真崎という男が居るかもしれない。どう考えても君に協力的であるはずはないから十分気をつけろよ。成功を祈る」

昇は三十キロ近くあるジェミノイドをおんぶしながら聞いていた。微かな違和感はあるが、まるで本物の三宅をおんぶしているような気がしてくる。背中に感じる温かさも、感触も人間のそれであった。

「わかった。気をつけるよ。誰もいないことを祈るよ。ところで、このジェミノイドは喧嘩は強いのかい?僕が危険な目に合ったら助けてくれるのかな?僕は武闘派とは対局にある人間だから腕力にはまったく自信が無い」

少し間をおいて

「残念ながら特別なプログラミングはされていない。しかし、アンドロイドは予想もしないところで思わぬ力を出すこともある。まあ、当てには出来ないけどね。出来るだけ速く亜弥を目覚めさせるから、もし何かあったら、それまでは君が頑張ってくれ」

予想通りの答えである。

「やれやれ、そうだよね。そんなことまで期待できないよね」

そう良いながら、ヨイショっと、少しずり落ちてきたジェミノイドを上に持ち上げた。そして、大きなため息を二度ついた。亜弥のすごさを改めて思い、そして、胸の奥の方がまたキリッと痛んだ。(つづく)

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2012年7月 7日 (土)

小説 アンドロイド「AYA/2nd」第5章 連載11

「アンドロイド?」

イスに座っている方の三宅を指さして昇が聞いた。三宅は、いたずらを仕掛けて、うまく成功してうれしがっている子どものような顔をして笑っていた。

「正確にはジェミノイド。僕に似せて作ったアンドロイドだよ」

三宅が得意げに人差し指で鼻を持ち上げながら言った。自慢する時の三宅の癖は学生時代のそれと同じだった。

「ジェノロイド?何それ?」

「ジェミノイドだよ。ジェミノイドとは、双子座を意味するGeminiと『もどき』を意味する接尾辞oidを合わせて作った造語だよ。つまり僕のコピーさ」

三宅はあくまでもうれしそうである。質問もしていないのに、さらに続ける。

「このジェミノイドはネットワークを通じて、コンピュータで遠隔操作をする。僕が命令したように動作をし、僕が話したとおりに話す。姿形も僕とそっくりに作っている。基本的にはコンピュータでコントロールするけど、動作やセリフを記憶し、プロクラム化することも出来る。何でも出来るわけじゃないけど、ある程度は自分で動いたり、話したりすることも出来るわけだよ」

亜弥と比べるとかなり原始的だと思ったが、三宅に敬意を払い、昇は、一応感心して見せた。まだまだ説明したがっている三宅を、とりあえず制止して

「君に協力して欲しいことがある……」

昇は、亜弥が突然やって来たことや、亜弥との生活、そして、突然失踪したことなどを三宅に話した。三宅は、せっかく自慢した彼のジェミノイドをちらっと見た後、腕を組んで机の角におしりを乗せて、うーんと唸って考え込んでしまった。僕が三宅をからかうために滋賀県にある三宅の研究室までわざわざやって来たとはどう考えても思えないので、この話をどう解釈していいのか本当に困っているようだった。そして、いつもそうしてくれたように、ちょっと困った顔で笑って

「ようし、わかった。亜弥を探そう」

と、言ってくれた。

「たぶん、この大学のどこかに拉致されていると思うんだ」

人間じゃないので拉致というのは変かなと思いながら昇が言った。

「うん、経過から考えるとその可能性が大きいな。どうやって探そう……」

一度、天井に視線を向けてから

「GPSだ。彼女の目、つまり高性能カメラには必ずGPS機能がついている。これは、シャットダウンされても停止しない。まずはそれの解析からだ」

三宅はそう言うと、すぐに自分のデスクトップのパソコンに向かってキーボードを叩く。

「簡単に見つかるのか?」

昇が不安げに訊ねると

「比較的簡単さ。この端末はうちの大学のスーパーコンピュータに繋がっている。普通のコンピュータでは難しいが、うちのスーパーコンピュータは優秀だ」

うれしそうに言いながら、画面の激しくスクロールする数値を見つめる。隣に座っているジェミノイドは三宅の方を向いたままじっとしている。昇がジェミノイドの頭をこつんと叩いても何の反応も無い。三宅の叩くキーボードの軽い音と、ハードディスクの小さなモーター音以外は何も聞こえない。亜弥が見つかったわけではないが、昇は気持ちが少し軽くなった。(つづく)

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2012年7月 5日 (木)

小説 アンドロイド「AYA/2nd」第5章 連載10

大学は試験の期間も終わり、入試前ということもあり、学生はあまり居なかった。正門で車を止め、受付で三宅の研究室を記入し、入構許可証を受け取る。グランドに沿った構内の車道をぐるっと廻る。グラントの中央には、この大学のシンボルロゴの「R」の大きな文字が芝生で描かれていた。陸上クラブの女子学生だろうか、臙脂色にRのロゴが入ったユニフォームのグループが軽いランニングをしている。昇は、その、のどかさに何処かで救われながら駐車場に車を入れる。広い駐車場には数えるくらいしか車が駐まっていなかった。車を降りると、駐車場の向かいにある学生会館から微かにフルートの音が流れてくる。それに答えるように、まだ正しいフレーズになっていないうぐいすの鳴き声がした。昇はハーフコートを羽織りながら周りの建物に目をやった。三宅の研究室があるアクロスウイングと呼ばれる建物は学生会館の反対側にあった。

エレベーターを五階で降り、研究室のネームプレートの三宅の文字を探す。等間隔で並ぶ無機質な研究室の風景が今の昇には妙に心地よい。一番奥の部屋に三宅のプレートを見つけ、小さくノックした。三宅の返事を待ってドアを開ける。

「やあー」と、イスに座ったまま右手を挙げて三宅が微笑んだ。意外に整った研究室に昇は少し違和感を感じた。学生時代の三宅のアパートは無造作に積み上げられた夥しい本と、小さな鍋や、フライパンが部屋の隅に投げ出されていた雑然とした部屋だったはずだ。でも、そんな三宅の部屋が昇には居心地が良かった。散らばった本を片付けて、自分の座る場所を作り、三宅と取り留めの無い話をして過ごすのが好きだった。

「なあ、木村。ロボットってどれだけ人間に近づけるのかな?アトムのように感情を持つことが出来るのかな」

そんなことを真剣な顔をして話す。それはきっと、詩人が自分の世界を創り出す時のような不思議な高揚感と、不確かな苛立ちが混じった彼独特の内的世界なのだと昇は思った。そして、近い将来、三宅は自らの研究を通して、その答えを得るのに違いないと予感した。

「ここはすぐにわかったかい。やたらと建物があるのでわかりにくかったんじゃないか」

「いや、駐車場に近かったからあんまり探す必要もなかったよ。それにしてもこんなに広くて、これだけ建物があったら、目当ての建物に行く着くのが大変だね」

「そうなんだよ。僕なんか、このキャンパスに来て半年位は、何がどこにあるのかなかなか覚えられなくてホントに困ったよ。何とか行き着いた学食も、次の日にはなかなか見つけられなくて右往左往したものだ」

三宅ならそういうこともあり得ると思ったが、口には出さず、微笑んで誤魔化した。三宅は学生時代、この半分も無いキャンパスで、待ち合わせをすると、決まって違う場所で待っている。それを探し出すのが、いつも昇の役割だった。そんなことを考えながら三宅の顔を見ると、何だか少し印象が違うような気がした。アイボリーのタートルネックセーターに、グレーのチノパン。講義が無いせいかラフな格好である。どこか妙に透明感がある。かなり微妙であるが、声のニュアンスも違う。耳の鼓膜に十分の一ミリ程度の鼓膜がもう一枚貼り付いたような聞こえ方であった。そんなことを思った時に、三宅の机の右隣の扉が開いた。

「やあ!」

と、手を挙げてアイボリーのタートルネックにグレーのチノパンの三宅が入ってきた。コンピュータがスリープ状態に入った時のように一瞬昇の脳のすべての機能が停止し、すぐに復帰した。(つづく)

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2012年7月 4日 (水)

祇園、半夏生(半化粧)の庭

平日の休み、気になっていた祇園の半夏生を見に行きました。

少し前、京都祇園で大きな交通事件(事故というよりも事件ですよね)がありました。

その交差点の近くに建仁寺というお寺があります。日本史や美術史でも有名な風神雷神図屏風があるお寺です。

その建仁寺境内の一画に両足院というお寺があります。このお寺の庭に、半夏生(半化粧)が群生しています。

元々は、夏至から数えて十日目位を半夏生というのだそうです。そして、このドクダミ科の植物もこの時期に半分化粧した状態になるので半化粧なのです。なかなか含蓄のある植物です(^^)。

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葉っぱの上の方の三枚だけが白くなり、後は緑色です。それで半化粧なのか!!

今日の京都は蒸し暑かったのですが、庭を眺めていると、時折涼しい風が吹いてきます。それが何とも心を落ち着かせてくれます。

この近くであんなに恐ろしい事件が合ったと思うと胸が痛むのですが、この半夏生の庭を見て、心を落ち着け、犠牲者の冥福を祈りました。

建仁寺の境内で、珍しいモーリス・ミニを見つけました。ローバー・ミニではなく、モーリス・ミニなのです。

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祇園の裏道の路地が大好きで、のんびり歩くと心が癒されます。

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この半夏生の庭の公開も今週いっぱいで終わりです。また、来年ですね。

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2012年7月 3日 (火)

小説 アンドロイド「AYA/2nd」第5章 連載9

昇はハンドルを力一杯握りしめ、ただひたすら前だけを見ている。車は200km/hは出ているだろう。スピードメーターを見る余裕はない。バックミラーを見なくてもヘッドライトを上向きにしたメルセデスの圧倒的な存在が、狭いミニの車内を制圧している。道路がどんどん狭くなり、大きく右にカーブしている。昇はブレーキを強く踏みながら、ハンドルを右に切る。スピードと制動力のバランスが崩れて車が不安定に振れ始める。カーブは昇が思っていたよりも鋭角だった。ハンドルをさらに右に切った。その無理なハンドリングで車が大きくバランスを崩す。危険を感じたと同時に、フロントガラスにガードレールが大きく広がり突き抜けた。ミニは何も無い真っ黒い空間に吸い込まれていった。

「ウワー!」

いつまでも響き渡るその声を聞きながら昇は突然目覚めた。豆電球の明かりだけの薄暗い部屋のあちこちに自分の叫び声がまだ尾を引いて漂っているようだった。昇は白いベッドカバーで額の汗を拭いた。シャツも汗で濡れていた。昇は急に寒さを意識した。妙に身体が硬かった。奥歯がうまく噛み合わず、小刻みに動く。あごの小刻みな動きを止めるように「うーー!」と、首を大きく反らしながら叫んだ。ベッドから出ると、汗ばんだシャツを脱ぎ捨て、バスルームに向かった。暗闇に小さく灯ったスイッチ押すと、ふわっとその辺りだけ明るくなる。昇はその、磨りガラス越しの現実的な明かりに気持ちが少し落ち着いた。

バスルームを出て、ベッドの時計を見る。液晶の五時を確認し、ゆっくりと着替えてベッドに仰向けになる。真っ白い天井の一点を凝視する。でも、昇は何も見ていない。昇の網膜のスクリーンには白い天井の塩ビではなく、後ろから迫る真っ黒なメルセデスのギラッと光るヘッドライトかもしれない。どこまでも、どこまでも追いかけてくる黒い筐体……。

にじみ出てくる額の汗を拭いて昇は起き上がり、ドアの下に滑り込ませてある朝刊を出した。有るはずの無い手がかりを探し出すように、ゆっくりと時間をかけて読んだ。トピックスの欄に名古屋でのロボット工学の学会の記事があった。「感情を持つアンドロイド?―学会で発表―」三宅の顔がふっと浮かんできた。昇は詳しい記事を読む。発表の詳細は出ていないが、理論上可能だということで、今後に期待出来そうだという内容である。感情はともかくとして、様々な分野に応用できる技術なので、企業や、行政から注目を集め、研究者もかなり力を入れているそうである。まあ、その程度のトピックス的な記事であった。昇は亜弥のことを思い、実際の研究は相当進んでいるのに、あまり明らかにはなっていないということを確認した。表には出てこない処で技術の開発競争や情報漏洩などの問題がかなりあるのではないかと思う。現代の新しい技術の開発は、正に情報戦で、速く、正確に、多くの情報を集約し、分析し、有効に再配置し、新しいシステムをいかに作り上げていくのかが重要な要素になる。ライバル企業や、ライバル機関への不正アクセスなども日常的に行われている。

「亜弥はどうなるのだろう」

新聞に目を通しながら、昇の胃の内側が重く痛んだ。何の手がかりもない今、三宅の力を借りるのが最善だと判断した。

昇は、ホテルのレストランが開くと同時に入り、コーヒーにトースト、サラダという簡単な朝食を取り三宅に電話を入れる。時計を見ると、まだ七時だった。少し早いかなとも思ったが、コールボタンを押した。かなりの数の呼び出し音を聞いたあと、昨夜久しぶりに会った三宅の声が聞こえてきた。

「木村か。早速どうした?」

昇からだとわかっているはずなので、眠たそうではあるが不機嫌ではない。

「朝早くに申し訳ない。君に頼みがある。今日、君の研究室に行って、協力して欲しいことがある。君の都合はどうだろう」

「今日は大学に行く予定だ。授業は無いが、学会のレポートを作らないといけなくてね。九時ごろなら研究室に居るよ」

三宅は快く応じてくれた。

「ありがとう。では九時に。詳しくはその時に」

三宅の研究室の建物と階数をメモし電話を切った。(つづく)

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2012年7月 1日 (日)

日曜日、穏やかな梅雨の日の午後……

やっぱり梅雨なんですね。昨日からずーと雨が降り続いています。

でも、日曜日のこんな日は家でのんびり過ごすのも良いものです。

どこかに出かけようか、なんて気にもならないし。

TVの音も、ラジオの音も消して、雨の音だけ聞きながら大好きな本を読むか、書きかけの小説を書いたりして過ごしたいと思います。

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(お昼寝のジジと、雨に濡れたプランターのキュウリです)

6月も終わりましたが、今年はあまり暑くなく、僕にとっては快適な日々です。こんなことは大阪ではとても珍しいことです。

梅雨明けが恐ろしいです。「早く夏が来ないかなー!みなさん早く夏が来て欲しいですよね!」なんてラジオのDJが言っていましたが、僕にとってはとんでもないことです。とにかく夏に弱いのです。このまま秋になってもいいかな、なんて思っています。

 

雨と扇風機の微かな音しか聞こえない日曜日の午後。今日は、小説が進みそうです。

では、また。小説の世界に入り込もうと思います。

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