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2014年7月

2014年7月31日 (木)

咲かないと抜いちゃうぞ

梅雨前に種を蒔いた朝顔や夕顔が一向に花が咲きません。

毎朝水を撒きながら「もう、いつまでも咲かないと抜いちゃうぞ!」

と脅かしています。

昨夜、白い朝顔が涼しげに咲いている夢を見ました。

「やっと咲いたか!」

夢の中で喜んでいる自分がいました。

そして、朝、水をやっていると、目立たないところに白い蕾がありました。

そして、いくつかの小さな花芽もありました。

yuugaoyuugaotubomi

夢の中では朝顔だったのですが、これは朝顔ではなくて、夕顔です。

「うん、良い子、良い子(^^)」

なんて言ってなでなでしてやりました。

朝顔君はとても頑固で、一向に花を付ける気がないようです。

もう、抜いたろかな?なんて思い始めました。

asagaosakazu

ところで、これご存知の方いますか?

haabu

去年植物園で買って来て植えたのですが、春に黄色い花がたくさん咲きます。

今日、伸びすぎた枝を切っていたらミント系の匂いがしました。ミント系のハーブの仲間なのかもしれませんね。

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2014年7月23日 (水)

久しぶりのギター弦交換

少しだけマニアックな話ですみません。

ずっと気になっていたのですが、ギターの弦を替えました。Elixirのコーティング弦だったのでかなり長持ちするのですが、珍しくこの数ヶ月ギターの練習を結構したので、さすがに替え時でした。

John Pearseのコーティング弦にするつもりだったのですが、楽器屋さんに着く前に、ポロシャツを買ったりしたので、予算が足りなくなってしまいました。

やむを得ず、値下がりしたこの弦にしました。

gen

コーティング弦ではあるのですが、賞味期限が過ぎているのか、ちょっと気になるところはあります。まあ、安かったので仕方ないか(^^;)

弦交換にはこのアイテムが必須です。

winder&cuter

左がワインダーで、右が弦カッターです。これはすごく良く切れます。以前、百均で買ったら、すごく力をいれないと綺麗にきれないくて、使い物になりませんでした。

今回のはそれに特化されたもののようですごく良く切れます。値段もそこそこ高いのです。

でも、道具って選ばないと、結局無駄な努力の末、使えなくなったなんて言うこともあると思います。

まあ、とりあえずギターの弦を替えることが出来て嬉しいです。

guiter

やれやれ、やっと替えて安心しました。

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2014年7月21日 (月)

包丁研いでいます

時々無性に包丁を研ぎたくなる時があります。

「見たなー!!」

なんて、日本昔話とかに出てきそうな場面です。

そんな感じでひたすら包丁を研ぎます(^^;)

料理をしている時に、何が嫌かと言えば、包丁が切れないときです。

この時期はトマトの皮がスーッと切れないとすごいストレスを感じます。お刺身もスーッと切れないと気持ち悪いです。

ということで、今夜はうちにあるすべての包丁を研ぎました。

すべてと言っても4本だけなのです(^^;)

houchyou2

下から、万能包丁、果物や野菜専用の小振りな包丁、刺身包丁、出刃包丁(主に肴を捌く時用)です。

どれも高価な包丁じゃないのですが、何だか馴染みが有り、手放せません。

週に一度程度、これらの包丁を研ぐことが密かな楽しみ(?)になっています。

近くのスーパーで、今はやりの「シールを集めて、有名な包丁をゲットする」という企画をしているので、今度少し良い包丁を買おうかな?なんて思っています。

包丁が増えるとちょっと嬉しいです。かなり変な奴かもしれません。

皆さんは包丁どうしていますか?

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2014年7月16日 (水)

蚊取り線香

九州地方は梅雨が開けたようで夏本番ですね。

大阪も昨日、今日と暑いです。セミも鳴き始めました。

夏と言えば、蚊ですよね。ちょっと庭に出ると待ってたとばかり蚊がやってきます。

僕は蚊にとってとても良いエサなんです。

そこで蚊対策。

うちでは電器蚊とりも使うのですが、こんな昔ながらの蚊取り線香も使っています。

katorisenkou

「臭いがいやや!!」

という人もいるかもしれませんが、僕はこの匂いが結構好きで、庭に出るときは携帯蚊取り線香をベルトに挟んで作業をします。

家ではこの蚊取り線香が気に入っています。子鬼の器が可愛いでしょう。

ただ、蚊取りのうずまきが切れてしまって、夜中寝ている時に蚊にさされたりすることがあります。それも、ぐっすり寝入っている時に刺されたりすると最悪です。

それで目が覚めて、以降寝られなくなったりします。にっくき蚊です。

みなさんはどんな蚊対策をしていますか?

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2014年7月13日 (日)

袋が大好き!!

僕じゃないです。

うちのジジ(♀黒猫3歳)は袋とか段ボールの中が大好きで、その辺に置いておくと必ず中に入って満足しています。

今日もジョーシン電器の袋に入って満足そうでした。

jijifukuro

狭い空間にすっぽり入って得られる安らぎってあるのかもしれないなーなんて思ったりします。

子どもの頃、秘密基地とか作って、その中に居ると妙な安らぎを感じたことを思い出しました。

段ボールを組み立てて作った秘密基地だったり、物置の片隅に仕切りを作って、秘密基地にしたり。そんな思いでが甦ってきました。

うちのジジも、もしかしたらそんなことを考えて安らぎを見いだしているのかもしれません。

大人になった今でも「秘密基地願望」があるのかもしれません(^^;)。

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2014年7月12日 (土)

七夕コンサート

ヤマハの音楽教室で七夕コンサートがありました。

アコースティックギターコースの僕らにも参加の要請があり、一曲弾いてきました。

「アイリッシュ」というギター曲です。あまり馴染みの無い曲だと思います。ネットで調べてみたのですが、ヒットしませんでした。

結構緊張もしましたが、友人と2人なので、多少間違えても止まることも無く最後までいきました。

曲が進んでいくと、緊張よりも、楽しさが勝って、ギターを弾いていることが楽しくなってきます。やっぱりこれがライブの醍醐味なんだなーって実感しました。

下の写真のようなホールなので、客席も少なく、せいぜい十数人位です。でも、これ位だと緊張よりも楽しさが勝ってとても良いものです。

僕らの前に演奏した、小学生のエレキギターのデュオの演奏がすごく上手くて驚きました。「タイムマシンにお願い」(?)という曲だったと思います。

こんな小さいうちからギターをやっていたらチャーさんみたいなギタリストになるのかなーなんて感心して聞いていました。

なかなか良い週末でした。

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2014年7月10日 (木)

デジタル計量スプーン

地味な話題を二つ。すみません。

キッチン家電が大好きで、買ってすぐ忘れ物にしたデジタル計量カップ

dezitalcup

も気に入っています。これはスパゲッティーを一人分測りとる時には最高ですね。

そして、今回買ったデジタル計量スプーン

dezitalspoon

まだ使っていないのですが、最小0.5グラムまで測れるのだそうです。調理に関しては特にマニュアル人間なので、マニュアルに書いてある量をきちんと量らないと気が済まないという困った性格なのです。

これで、僕の調理も万全です(^^;) そう言えば、最近、料理を作ることがとても多くなったような気がします(調理器具のせいでなく、もっと必要に迫られてということですが……)。

 

話は変わって、「紙箱」というのをご存知ですか?

これなんです。

kamibako

「そんなん知ってるわ!!」

という声が聞こえてきそうです。しかし、僕は今まで作ったことがありませんでした。

姪の娘が「おじちゃん作ってー」

と言うものですから、ネットで調べて作りました。

フムフムなどと言いながら作るのですが、途中で分からなくなってしまいます。こんなシンプルな紙箱なのに折り方が何種類もあるのです。

三種類ほど試したのですが、途中で「うーん?」などと考えてしまい、四回目でやっと分かりやすい折り方に出会えました。

そして、やっと作ることが出来ました。

これって結構重宝しますよ。みなさんも是非作ってみてください。

地味な話題ですみません(^^;)

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2014年7月 7日 (月)

小説「春の訪れ」最終話

木星はイスに座り、気持ちを落ち着けようと目をつぶる。暫くして、コンピュータを起ち上げ、「春の訪れ」とタイトルされたファイルをクリックする。Boseのスピーカーをブルっと震わせながら、コントラバスの重低音が流れ出す。やがて高音のストリングスが加わる。スピーカーから様々な音符が流れ出し、木星の部屋の隅々までを音符で満たし始める。重い波のうねりのようなコントラバスと、細く鋭い風のように吹き流れるバイオリンやチェロの音。いつしかピアノのバッキングがそれらをあおり立てるように力強くたたみ込む。大きく波が崩れると、一転してハープの軽やかなアルペジオに変わり、ピッコロとフルートの軽やかな二重奏になる。それはまるで春の日差しの中を飛び回る二羽の蝶のようでもあった。蝶がモザイク状にふっと消えてしまうと、スライドがゆっくり切り替わるように、黒い雲が春の日差しを浸食し、重いストリングスに変わる。

木星は、音で満たされた部屋のイスに座り、目を閉じたままこの世界を味わう。ここで聞く、この音達だけが木星彰の音なのだ。ひとつ一つの音を深く味わいながら、音の響きの中に埋もれる。木星の心も身体もこの音達と一つに溶け合って一体となる。そして、その奥底から湧き上がる一つの意志、怒りが、木星を突き上げる。木星は決心した。

ポケットからケータイを取り出し、この気持ちが萎えてしまわない内に、ひとつ一つの言葉を確かめるようにメールを打った。

 

美憂と会うのは久しぶりだった。美憂が木星の部屋に来るのはもっと久しぶりだ。

「相変わらずきちんと片付いたお部屋ね」

指でキッチンのテーブルを撫でて、それを見ながら挨拶がわりに言う。テーブルの上の小さなゴールドクレストと同じ黄緑色の、いかにも軽そうなコートを脱いでイスの背もたれに掛ける。

「ホントに久しぶり。忙しかったみたいね」

そう良いながらイスを引いてフワッと座る。そこだけ春が来たように、少し華やかになる。白いブラウスとレモン色のセーター。細いジーンズの足を軽く組んで背もたれにもたれ

「どうしたの? 何か大事な話があるみたいね」

美憂はそれほど長くない右側の髪を、細く長い指で、耳に挟みながら訊ねた。彼女がちょっと緊張している時の癖だ。木星はその表情が好きだった。右側のうなじが露わになる。綺麗だと思った。

「とても言いにくくて、君にとってはあり得ない話かもしれない。僕も誰にも言わないつもりだった。でも、もうそれは出来なくなった。君にだけはどうしても話して置きたいと思った」

木星は美憂の向かいの椅子に座り、小さなゴールドクレストを見ながら話し始めた。緑川拓磨との出会いからこの春のことまでを、ほとんどはゴールドクレストに話しかけるように。そして、話の区切りには美憂の顔を見た。たぶん、自分の顔が歪んで醜く見えているのではないかと思った。美憂はひと言も口を挟まず、ただ、木星の動く唇をじっと見ていた。

「僕は、この事を世間に明らかにしようと思う。明日、緑川に伝える。その前に君に話して置きたかった。君は僕の恋人でもあるし、音楽雑誌の編集者でもある。だから君に書いて貰いたい」

木星は美憂の目を見ながら言った。美憂は木星の顔を見た後、ゴールドクレストに向かって小さいけど、深く長いため息をついた。それからもう一度木星の目を見て言った。

「私も多少なりとも音楽に関わっているから、あなたの気持ちは良く分かる。あなたの創ってきた音楽もとても好き。プロの作曲家とは違う何かがある。そして、静かで優しい響きに私は癒されてきた」

テーブルに置かれた美優の指先が少し震えていた。少しの間目を閉じてから、立ち上がり腕を組んで言った。

「でも、あなたは間違っていた。あなたの楽曲が世に出て、たくさんの人に聞いて貰えることはとても素晴らしいことだと思う。でも、そんな形で世に出ても、あなたの大事な音楽が損なわれてしまう。緑川の下らないパフォーマンスの装飾品にさえなってしまうのよ。いえ、音楽だけではない。あなた自身も深く損なわれてしまう」

極力感情を抑制しながら話しているのだろう。途中何度か咳をした。しかし、それだから余計に鋭く美憂の言葉が突き刺さる。

「あなたの言うように、すぐに公表すべきよ。世間の反応はかなり厳しいと思う。大きな話題のない今、メディアにとってはとてもありがたいニュースになると思うし、多くの記者が取材に押しかけると思う。でも、あなたにはそれを受け入れる覚悟はもう出来ているのよね。でも、それはとても大変なことだと思うし、一人ではとても支えきれない」

美憂はもう一度イスに座り小さなため息をついてから、

「でも、忘れないで。あなたには私がいる」

木星の顔を真っ直ぐに見て美憂が言う。少し間を置いて、木星の大好きな柔らかい眼差しで訊ねた。

「でも、何故今、そう決心したの?」

「ずーっと僕の心の中にあったんだと思う。昨日の緑川の新作発表の会見を見て決心した。僕は許せなかった。彼はうっすらと笑って『なかなか良い話だ。絵になるね』と言った。彼にとってはあの大震災も、心の痛みも伴わないイベントの一つだったんだ。もう終わりにすべきだと思った」

木星を見つめる美憂の瞳に、赤く歪んだ木星の目元が映った。美憂は無理に笑顔を作って

「あなたの音楽をゴーストのままにしておいてはいけない。きちんと成仏させなきゃね。私に話してくれてありがとう」と言って立ち上がり、木星の頭を抱いて頬をすり寄せた。

美憂が帰った後、木星は、美憂の匂いがわずかに残るベッドに顔を埋め、しばらく動かなかった。そして、部屋を出て、仕事部屋に入ると、コンピュータを起ち上げ、「春の訪れ」を聞いた。ピアノだけの、シンプルで憂いを含んだテーマが流れた後、小太鼓の軽快なリズムに乗ってフルートとクラリネットの二重奏が雲間から束の間漏れてくる春の日差しのように地面を飛び回る。そして、再び日差しが閉ざされ、薄く、暗いストリングスのスクリーンで覆われた。でも、その薄いスクリーンの向こうには、明らかに春の兆しが感じられた。

木星は立ち上がり、窓を開けた。風にながれる桜の花びらの向こうに、夕日に照らされた満開の桜があった。薄いピンク色の花びらを透かして、今、夕日が静かに落ちようとしていた。(了)

 

<参考楽曲>

「春の訪れ」

https://www.youtube.com/watch?v=iU-BGOChoW4

「風、八月の空に」(ヒロシマの風)

https://www.youtube.com/watch?v=fSvJFU86COQ

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2014年7月 4日 (金)

大部色あせてますが……

もう、かなり色あせてきましたが、うちの紫陽花です。何だか捨てるに捨てられなくて今日に至っています。

でも、色あせた紫陽花でも、こうしてキッチンの流し台の上にあると、ちょっと癒されます。洗い物をして、フッと見ると何だか気持ちが和みます。植物の力ですね。

花だけでなく、葉の緑も良いんですよね。あくまでも脇役ですが……。

ichirinzasi

でも、紫陽花と桔梗が終わると、一輪挿しに挿すような花がなくなってしまいます。野草でも良いのですが、うちの野草の花の季節は終わったようです。

キュウリの雄花でも挿そうかな。

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2014年7月 3日 (木)

ジジ(♀黒猫3歳)がいなくなったー

夜、突然ジジ(♀黒猫3歳)の姿が見えなくなり、名前を呼びながら、狭い家のあらゆる所を探しました。

だいたいが上の所が好きで、棚の上とか箪笥の上とかに居るのですが、今日はどこを見ても居ないし、返事もありません。

jijitananoue

まさか、外に脱走したのでは?などと思ったのですが(3回ほど玄関の戸が開いた瞬間に脱走しています)、どこも開いているはずもなく、外には出てないのですが、物置とか押し入れとか、洗濯機の中とか、ありとあらゆる所を探したつもりなのですが、居ません。

何度か呼んでいると、微かに「ニャー」とか聞こえます。でも、分からないのです。

そして、ついに見つけました。

どこだと思いますか?

台所の流し台の下の戸袋の中に居ました。今まで入ったことがないし、また、普段は閉まっているので入れるわけはないのですが、その中に居たのです。

何かの拍子に入ってしまい、僕が知らずに閉めてしまったのだと思います。

一ヶ月に1回位行方不明になります。

やれやれ……。

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2014年7月 2日 (水)

清楚の極みかな?

桔梗というと紫色が定番なのですが、白の桔梗もあります。

この白い桔梗が清楚の代名詞というか、何と言うか……。僕の汚れた心情が恥ずかしく、この花を前にすると思わずうなだれてしまいます。

自然と反省してしまいます。それ位清楚なのです。清楚な桔梗の花の前に真っ赤な情熱の花が咲いています。なんていう名前なのかは忘れてしまいました。

真っ赤な情熱の花の前には清楚な桔梗も霞んでしまうようです。

やっぱり、赤ってすごい存在感ですよね。

車は赤なのですが、花は、やっぱり清楚な白い桔梗に憧れるなー

kikyougunseikikyoumaenoakahana

みなさんはどちらがお好みですか?

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2014年7月 1日 (火)

小説「春の訪れ」第8話

2011年3月11日、東北の沿岸を中心にした大震災が起こった。そして、三年後の今年の三月。緑川拓磨は震災による多くの犠牲者に捧げる鎮魂の曲<レクイエム「春の訪れ」>を発表した。

「震災からひと月経って、ようやく大阪からの臨時便が飛ぶようになりました。私は、大阪での活動を終えて、伊丹から仙台行きの便に乗りました。いつもならば、静かに流れているはずのBGMも無く、乗客も無言のままでした。飛行機が仙台空港の上空に差し掛かると、蒼い海が穏やかに、どこまでも広がっていました。小さな波が日差しを浴びて、無数の真珠のように輝き、美しさのあまり、僕の魂がそこに吸い込まれて行くようでした。しかし、海岸から内陸部にかけて、本来有るべきものは何もありませんでした。家も、木々も、人々の生活も……。何もかもです。それらに代わるように、波に流され、破壊された夥しい生活の痕跡が至るところに積み上げられていました。僕は飛行機の窓に顔をつけ、呆然とそれらを見つめ続けることしか出来ませんでした。機内の所々から小さなため息が聞こえ、やがて飛行機は、そこだけ片付けられた一本の滑走路に静かに降り立ちました。滑走路のすぐ横に積まれた泥まみれの漂流物にセスナが頭から突き刺さっていました。気がつくと僕の顔はぐしょぐしょに濡れていました。気圧のせいか、眼にハンカチを当てて、鼻を啜る音がどこか遠くから聞こえてくるようでした。でも、その後に訪れた被災地と比べると、これはほんの序章に過ぎなかったのです……」

緑川拓磨の新作発表の会見はそれから暫く続いた。木星はテレビを見ながら、同じ日程で訪れた東北の被災地の様子がいくつもいくつも頭の中で再現された。木星も飛行機の中で緑川と同じ思いだった。飛行機を降りてバスに乗り、まだ復旧されていないアクセス線の駅の側を通り、仙台に向かう途中の光景が甦ってくる。バスから外を見ると海が異様に近かった。バスと海を隔てる何物も存在しなかったからだ。そして所々に、城壁のように積み上げられた無残に破壊された、人々の営みの痕跡。バスの乗客は皆、押し黙り、窓に顔を押しつけるように外の風景を眺めていた。

テレビの会見が続いている。緑川拓磨は、その繊細な指先をメガネの下から目頭に当て、少し沈黙した後

「震災から三年目なろうとする今になって、ようやく楽曲を創る気持ちになれました。被災地は未だ復興が進んでいません。3.11を風化させてはならない。この楽曲を多くの人に聴いて貰うことによって、復興のエネルギーを再結集させたいと強く願っています。皆さん、三.一一は決して終わってはいません」

そう言って、テレビカメラを真っ直ぐ見つめる緑川にカメラのフラッシュが一斉に焚かれた。いつまでも続くフラッシュの音と光の中を緑川はゆっくり立ち上がり会場を立ち去った。

木星はリモコンでテレビを消してからも、何も映っていない黒い画面を見つめ続けた。まるでそこに、無数のフラッシュを浴びる木星自身の姿を見つめているかのように。確かに緑川は被災地を訪れた。しかし、現場での撮影が終わると早々に東京に戻った。会見で話した被災地の様子とその思いは木星が彼に話したものだった。「なかなか良い話だ。絵になるね」そう言ってクスッと笑った。

木星は大きなため息をついて立ち上がり、「仕事部屋」と決めているコンピュータや楽器の置いてある部屋のドアを開け、胸に湧き出てきた思いをぶつけるように激しくドアを閉めた。

去年の秋口に緑川から仕事の依頼があった。緑川はおおよそのモチーフを話し、「後は君にまかせる。期待しているよ」と言っただけだった。木星にとってもその方が都合が良かった。三年前に東北の被災地を訪れた時から、構想は出来ていた。後は具体的にひとつ一つ音符にしていくだけだった。しかし、すぐには曲を作ることは出来なかった。衝撃があまりにも深過ぎた。二年目にようやくぽつぽつと曲を書き始めた。そして、緑川から依頼があって、本格的に曲作りに入った。理髪店に行って、髪を短く整えて貰い、丁寧にヒゲを剃る。仕事が終わると、すぐに自宅に戻り、簡単な食事を済ませ、後の大半の時間はコンピュータの前で過ごした。作業は深夜に及ぶこともあった。木星の頭の中には、今書いている楽曲の世界しか存在しなかった。木星が訪れた被災地のひとつ一つを、そこで出会った人々の思いを再現し、楽譜を通して再構成する。大槌町の、月光で白く照らされた無数の車の残骸。南三陸町の防災対策庁舎跡の鉄骨から見えた歪んだ太陽。陸前高田市の一本だけ残った松を見上げていた老人。その松の向こうに広がる海はただただ穏やかで静かだった。首に巻かれたタオルと固く握られた汚れた軍手がブルブルと震えていた。木星は一息つくと、いつも窓を開けて空を見上げる。群青色の空が東北の震える空と繋がる。暫くじっと見つめ、静かに窓を閉めて再びコンピュータの前に座る。そんな日が数ヶ月続く。そして、冬休みの二週間。一時間のジムでのトレーニングと、最小限度の食事の時間や入浴などのルーティン以外この部屋で過ごして、楽曲の最終仕上げをした。タイトル「春の訪れ」20分に及ぶ長い楽曲である。例え「作曲者 緑川拓磨」というクレジットが付こうと、木星はこの楽曲を創りたかった。その強い思いを押さえることは出来なかった。(つづく)

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