最後の秋
| 固定リンク
| コメント (2)
| トラックバック (0)
久しぶりの晴れの土曜日。この秋最初で最後の「テントランチ」を挙行した。
朝から陽が差して暖かかった。
早速、おにぎりの用意。中味は「シャケ」「梅干し」? なんて考えるのも楽しい。
おかずはあまり凝らずに、玉子焼きと肉野菜炒め、ソーセージ、赤貝の缶詰。それと、もちろん缶ビール。
お昼になると、雲が出て来て少し寒くなってきた。それでも、テントを張って、テーブル出して
「いっただきまーす!」
少し寒かったが、隣の庭の真っ赤なモミジを見ながら、今年最後の「テントランチ」を楽しんだ。
京都の東福寺など「紅葉の名所」は今年最後の紅葉を楽しむ人々で超満員だったそうだ。
僕は、この狭いテントで十分に満足だった。
| 固定リンク
| コメント (2)
| トラックバック (0)
18の時だった。中学の同級生だった子に恋をした。
彼女は女子大生で俺は浪人生だった。通学の電車で出会い、何度か話をしてからだと思う。高校は男女別学だったので、中学以来だったはずだ。
彼女は同級生の男子の間では憧れの女性だった。目が大きくて小さな口許がキュッと締まっていた。意志が強そうで、生意気そうにも見えた。Kという名前だった。走りが速かった。それだけで、俺たちは彼女に憧れた。頭も良かった。そして、少し大人びていた。廊下で出会ったりすると、必ず心臓が騒ぐ。すれ違った瞬間、鏡を見て考えた最高の顔を作る。他の男子もそうだったと思う。
電車で出会った瞬間、Kが声をかけてくれた。
「久しぶり。どうしてるの?」
四人が座れるボックス席に向かい合って座った。Kはちょっと大人になっていた。口紅の赤が眩しかった。俺も、高校を卒業して、制服ではないし、ちょっとは大人に見えたかもしれない。約束したわけではないが、俺はいつも同じ車両に乗ることにした。Kもそうした。朝の出会いが嬉しかった。
「日曜日にハイキングに行かないか?」
出来るだけ自然になるように前日に練習した。でも、不自然だったかもしれない。
「いいよ」
Kはあっさり承諾した。暫くの間信じられなかった。
湖に紅葉の赤がくっきりと浮かんでいた。俺たちは黙ってそれを見ていた。川面が揺れて小さな波が立った。Kの髪がフワッと持ち上がりうなじが露になる。心臓がとくんと鳴った。Kは綺麗だった。
(※イメージです。ネットから拝借しました)
「ギターはまだやってるの?」
「やってるよ。あんまり上手くないけど」
「ううん、良かったよ、サベージ。綺麗にハモってた」
高三の文化祭に友達四人とフォークグループを作って歌った。Kも観に来てくれたらしい。
その日以来、食欲がなくなった。予備校から帰って来て、机に座り、イスの背もたれに持たれてため息を吐く。窓を開けて、すっかり色づいた山を見てため息を吐く。問題集を見てもKの顔が離れない。Kの言葉を一つ一つ反芻する。
手紙を書いた。一文字ずつに自分の思いを込めた。今までで一番綺麗な文字で。
Kからの返事は無かった。電車でも会わなかった。ますます食欲が無くなった。ため息の回数も多くなった。
一週間後にKの友人のSに電車で声をかけられた。「話がある」と言われた。駅の近くの公園でSと話をした。
「彼女悩んでいるの。結局、あなたが嫌いじゃ無いけど友達以上にはなれないって。だから、個人的にはもう会えないって……本当は自分で言うべきなんだけど、やっぱり言えないって」
それから、Sは自分のことをいろいろ話した。でも、どんなことを話したのか覚えていない。俺は悲しくはなかった。むしろ、随分安らかな気持ちになった。すっきりしたと言って良いのかもしれない。その日の晩から食欲が戻った。受験勉強にも驚くほど身が入った。
2017年、今年の夏も実家のあったS市に帰った。お墓参りの後、友人たちと飲んだ。その席で、隣に座った友人が
「Kのこと覚えているか? Kが君に会いたいって。ここに呼んでいいかな?」
と言った。あまりに突然過ぎて、何て返事をしていいか分からなかった。少し時間を置いて「構わないよ」と返事をした。もう随分年月が過ぎている。でも、何故今頃?
「君が帰ってくることを誰かに聞いたらしい。彼女はうちの薬局によく来る。それで彼女に頼まれた。何故君に会いたいか、俺は分からない」そう言って、ケータイで電話した。
少ししてKがやって来た。私の前の席に座った。彼女は私と同じ分だけ歳を取っていた。でも、その中にあの時のKが間違いなく居た。大きな二重まぶたも、賢そうな口許も同じだった。彼女も私がすぐに分かったようだ。
「久しぶりね。元気にしてた?」「お陰様でね。君も元気そうだ」
それから何を話したかあまり覚えていない。少ししてKが、
「あなたが帰ってくると聞いて、とても会いたくなった。何故だか私にもよく分からないけど、どうしても会いたかったの。変だよね」
笑いながらそう言った。私も笑いながら
「俺は本当に君が好きだった。ご飯が食べられないくらい好きだった」
友人達の前で平気で言った。そんなことが笑って言える位時が経ったんだと思った。彼女は一瞬とても真剣な顔をして、それからみんなと同じように笑った。
その後もどんな話をしたか覚えていない。多分、ありきたりの昔話だったと思う。よく飲んだ。別れるときに彼女と握手をした。あの時は手すら握っていなかったのに。
「元気でね」「君も」
そう言って別れた。もう、今度こそ、会うことはないだろうと思った。当時、彼女がどう思っていたかなど、何も話していなかったし、その必要も無かった。しかし、その日初めて、彼女にも(私と同じように)私の存在がどこかにあり続けていたことを確認した。もう、それだけで十分だった。私はもう一度「さよなら」って言った。
(了)
| 固定リンク
| コメント (5)
| トラックバック (0)
それぞれの秋がある。
日々の雑事に追われているうちに、秋は自分のペースで歩を進め、確実に自分の季節の幕引きを図ろうとしている。
久し振りの朝のウォーキングで、早足の秋にようやく追いついた。
青空にくっきりと浮かぶ「皇帝ダリア」や菊の花。毎年の花なのに去年とは違う。
同じ場所に同じように咲いているが、引き継がれた今年の命に違いない。
そして、うちの団地の中も、すっかり秋模様だった。
ベランダから見える一番近い秋。
こんなに身近なところにも秋があった。去年、伸び放題の頭を刈って貰ったゴールドクレストの緑と、お隣のモミジが良い対比になっている。
日曜日にまた出かけた植物園にも、昨日出かけた大阪の街にも、秋は律儀に、分け隔て無く、自分の絵の具を置いていく。
そして、今年はやっぱり、早い幕引きになりそうだ。
| 固定リンク
| コメント (4)
| トラックバック (0)
少し前の話ですみません。
ハイキングという程は歩いていないけど、久しぶりに「植物園」に行って来た。
今年の秋は晴れの日が少なくて(特に土日は)なかなか行けなかった。
いつの間にかすっかり秋も深まった植物園。季節の移ろいを実感した。
小さなテントを張って、お弁当。
お母さんが仕事なので、Kちゃんと弟のアオ君も一緒だった。
久し振りの外でのお弁当。
ビールもすすむ。
やっぱり外を歩くのは良いなぁとつくづく思った。もし走ることが出来たら、ここだとかなり走れそうだと思う。
歩くのが精一杯なので想像するだけにする。
暑くなるかもしれないなどと、勝手に想像して薄着で来たため寒かった。この時期、上着は欠かせないと思い至った。教訓です。
植物たちに囲まれると、とても心が安らぎ、免疫力が高まるような気がする。
貴重な秋の1日だった。
| 固定リンク
| コメント (4)
| トラックバック (0)
やっと秋晴れの気持ちの良い空を見ることが出来た。
三連休はお天気も良かったのでこんな物を作ってみた。
この箱、何だか分かりますか?
実はこんな風に使います。
去年まで、玄関に置いていた灯油が邪魔になるので、新しく作ったウッドデッキに置くことにした。
でも、外から灯油タンクが見えると不用心だと妻が言うので、目隠しのケースを作った。
材料はフローリングで余った板。結構厚手の板なのでしっかりしている。
家庭用の電動鋸で板を切って、ボルトで固定しながら組み立てた。ボルトは電動ドリルでネジを締めるのだけど、板が堅い部分とかあって、うちにあったドリルではパワー不足のようだ。
仕方ないので、「インパクト電動ドリル」というちょっとパワフルなドリルを買ってネジを締めた。これは強烈だった。下手するとネジが埋もれてしまう位入り込む。高かったけど(税込み9,000円)、これからもDIYにいろいろと使うので無駄にはならないと思う。
妻の要望で取っ手と、キャスターも取り付けた。
これで冬の寒さ対策は万全だ。
でも、この単純な箱を作るだけでも結構時間がかかった。実は、この余った板で物置を作ろうと考えていたのだが、箱を作ってみて、物置などとんでもないと思った。それこそ何日かかるか分からない。
いや、何日かかっても出来ないと諦めた。
次回は外用の棚を作ろうと目論んでいる。
| 固定リンク
| コメント (2)
| トラックバック (0)
2週続きの日曜日の台風。
週末になると天気が悪くなるので出かけることも出来ない。このまま冬になってしまうのだろうか?
そんな中、うちの朝顔が未だ咲いていた。この朝顔は夏の間は全然咲かなかったのに今頃になってポツポツ咲き始めた。
植えた人(僕です)に似てピントがずれている。だつて、もう11月だよ。
今年も、残すところ後2ヶ月。どう騒いでも新しい年がやってくる。
台風が来ている日曜日(前回ほどは酷くなかった)にライブに行って来た。関西で活躍する「すぎたじゅんじ」さんとTARAさん。それに土井亮さんというキーボードのアーティストのライブだ。
前半は3人のライブだったが、後半は観客の何人かが歌ったり、演奏したりするコーナーがあった。
前からの打ち合わせで僕も歌うことになっていた。緊張しながら歌いました。「BORO」さんの「大阪で生まれた女」。
ハーモニカを付けてのピアノの弾き語り。ピアノにハモニカは珍しいのか、興味深そうに見て(聞いて)くれました。このキーボードは、土井さんが買ったばかりの新品で演奏するのはその日が初めてだとか。
そんなキーボードを弾かせてもらって感激しました。同時に緊張も。
ライブが終わって(夕方)外に出ると、台風が過ぎて行ったのか、すっかり雨も上がり、穏やかな夕方の秋空でした。
友人とちょっと一杯やって帰りました。それにしても、人前で下手な歌を歌うと、とても緊張するものです。
| 固定リンク
| コメント (4)
| トラックバック (0)
最近のコメント